| 【記事】 八方美人争い |
日本のここがおかしい |
テレビで貸金業法の強化により貸し金業者の撤退が相次いでいるという報道がありました。その余波で、つなぎ融資先を失った零細業者が沢山居るという事です。貸金業法は高い金利でやむなく金を借りた個人や企業が多重債務に陥り、悲惨な結果を招いているという状況をなくすために、悪質な貸金業者を取り締まるために法律です。金利の上限を下げた事はご承知のとおりです。番組では造園業者が、大きな造園の注文が入ると、庭石とか庭木を仕入れる費用として貸金業者からつなぎ融資を受けていたのに、その貸金業者が無くなったために融資を受けられずに、造園の注文は受けられなくなり、従業員も減らすことになったという状況を説明していました。
この話は、多重債務に陥る悲惨な人達を減らそうとした結果が、零細業者を追い込んでいるという話になり、では貸金業者を生かした方が良いのかとい話になりますが、当然、つなぎ融資で困っている業者よりも、悲惨な状態に陥る多重債務者を救う方が優先されるべき話でしょう。そのどちらも救うべきだという話になると、政府が担保の無い人には金を貸さない銀行に圧力をかけて、つなぎ融資をしてやれという事にするか、公的資金で東京都のように銀行を作るかしかなくなります。 社会主義国にするなら別ですが、社会が全ての困っている人を税金や法律で助ける事はできません。ある大学教授(女性)が困っている人達を映し出した番組の中で、“この人達に最低限の住居や生活を保証するのは国の責任です”と叫んでいましたが、もはや国というブラックボックスは存在しません。助けるなら国民一人一人が増税に応じる必要があるのですが、その事を分かっている人がどれだけいるのでしょうか。 先の造園業者の例を自由主義的な観点から考えると、注文が来て仕入れ代金が払えない、あるいは仕入れ先から支払いを待って貰えないような信用のない業者が存続することに意味があるのかという事になります。注文する方は、他に幾らでもしっかりした業者がいるはずです。こういうつぶれかかった業者が採算無視で注文を受けるから過当競争がなくならず、利益率も低くなり、従業員の雇用や給料の改善につながらないのだという事になります。弱い業者はどんどん淘汰されると、生き残った業者と従業員は安定した利益を得ら、潰れた業者の従業員も吸収されるわけで、規模も大きくなります。規模が大きくなると、生産性や技術の改善をする余裕も出て、社会の発展にもつながります。これが自由主義の立場です。 最近の報道を見ていると、失業者、悲惨な派遣労働者、低い新卒の内定率、疲弊する地方、医療崩壊、授業料を払えない家庭、老老介護の悲惨等々、困窮している人達の報道がこれでもかこれでもかとされています。この報道自体はすべて実際に起こっている事には間違いないでしょう。しかし今の日本はあまりにそちらに目が向きすぎているような気もします。民主党が衆議院選挙の攻勢をかけていた1年前くらいから特にその雰囲気が加速されました。 民主党や社民党のような左派的な感覚からみると、困っている人を救うのが国の最大の目的だという事になるのでしょう。もちろん、困っている人を助けるという事は人道的に立派な事であり、そのこと自体を否定する人はいません。問題は、国がそれだけで回って行くのかという事です。国を引っ張るのは困っている人ではなく、実際には張り切って働いている人達でしょう。才能のある人に自由に働かせれば、日本にもビルゲーツやスティーブジョブズのような人達が出てくるかもしれません。実際、孫正義さんみたいな人もいます。こういう人達が沢山出て、雇用が創出され、福祉のための税金もはらわれるのです。 このように考えると、困っている人を助けるのと、せめて同じくらいのエネルギーで、頑張っている人を援助するような事をするべきではないでしょうか。金の卵を育てないと日本は発展どころか、現状維持さえできません。 政治で大事なものの一つにバランス感覚があるとすれば、民主党が福祉を最大のテーマにする左派思想で有れば、対立する自民党は本来の自由主義を標榜する、アメリカの共和党のような思想で対抗するべきです。自民党まで票目当てで、困っている人だけに目を向けていてはバランスがとれないのです。アメリカなど、オバマ大統領の国民皆保険制度が通りそうにもないのは、共和党が反対し、国民の中でも反対する人の方が多いのです。何で俺達がろくに働きもしない人達に金を出さなければ行けないんだと考える人が多いからです。自民党も福祉に反対したら反人道的と思われて票を失うというような事を恐れずに、小さな政府、官から民へ、市場主義、自由主義、自己責任の原則、そして財政の再建など保守本来の思想を掲げて、民主党と対峙して、国民にどちらを選ぶか問いかけるべきだと思います。どちらの党も八方美人の美人度で対抗しようなどというおろかな考えでは日本は沈みゆくばかりです。本当の二大政党制とは政策の違いを争うのですが、根本的には思想の違いを争うべきなのです。
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