手もよう『卯月日記』
      記者名:卯月  開始:04年04月12日  全記事:219  アクセス数: 33/ 84/ 280597



今年の通り抜けは4/15〜4/21
曇りで肌寒い日だった4/17の写真です。


《今年の桜》「平野撫子(ひらのなでしこ)」



平野撫子(ひらのなでしこ)
京都平野神社境内にあり、花弁に撫子の花のように切り込みがある。花は大輪の淡紅色で、花弁数は40枚程ある。



この「平野撫子」は園内に3本しかありません。
「今年の桜」になるにはちょっと少ないかな?
でも、目立たない品種に注目してもらうにはいいのかも。



関山(かんざん)
明治初年東京荒川堤の桜として有名になった桜で、花は濃紅大輪で、花弁数は30枚程である。

今年はひさしぶりに「関山」が満開でした。(つぼみのときが多い)
最多の62本、濃い色のこの品種が満開の時期が、まさしく「通り抜けの満開」です。


恒例の「みどりの桜」2種



鬱金(うこん)
古くから知られた桜で、江戸時代に京都知恩院に植えられていたといわれ、樹姿は直立高木で、花は淡黄緑色のショウガ科のうこんの根の色に似ていることから、この名が付けられた。花弁数は10〜15枚ある。




御衣黄(ぎょいこう)
花は黄緑色で、開花が進むにつれて花弁の中心に紅色の縦線が現われる大変珍しい品種で、花弁数は15枚程である。




ここからは、過去記事で紹介していない品種の写真をのせておきます。




妹背(いもせ)
花は濃淡になった紅色で、時に一つの花に実が二つ、対になってつくことから、この名が付けられた。花弁数は30枚程あり、二段咲きが見られる。


(妹背)







早晩山(いつかやま)
東京荒川堤にあった名桜で、花は大輪、花弁の先端に深い切り込みがあるのと花弁の中央に紅の縦線が入るのが特徴で、花は淡紅味を帯びた白色。





紅玉錦(べにたまにしき)
北海道松前で、八重霞桜と里桜を交配育成された桜で、つぼみが紅の玉のようになり、花が球状になる。花は淡紅色の大輪で、花弁数は40〜50枚。





福禄寿(ふくろくじゅ)
東京荒川堤にあった大島桜系の里桜で、花は淡紅色で、花弁は波打つようなしわがあり、かたい感じがする。花弁数は15〜20枚あり、大輪として代表的なものである




天の川(あまのがわ)
東京荒川堤にあった里桜で、樹姿がほうき状となり、淡紅色の花が上向きに咲く珍しい品種である。花弁数は10〜20枚ある。







八重曙(やえあけぼの)
花は淡紅色で、花弁数は11〜17枚あるが、部分により濃淡がある。芳香に富んでいる。





六高菊(ろっこうぎく)
花は淡紅白色で菊桜の系統である。旧制第六高等学校(現在の岡山大学)の校庭にあつたところから、この名が付けられた

ほんとうに野菊のようなかわいらしい花。


(六高菊)






渦桜(うずざくら)
元々東京荒川区に桜とされ、花名はしわのある花弁が渦を描くように、ややらせん形に並ぶことによるもの。淡紅色の八重桜で、花弁数は30枚程度。

今年の通り抜けに初登場した3品種のうちのひとつがこの「渦桜(うずざくら)」(残りの2種は「胡蝶」「手毬」)
紅色の桜が多い中、この渦桜の白さは潔い感じでした。


(品種の説明文は造幣局HP「桜の通り抜け桜樹一覧表」より)



2008通り抜け

2007通り抜け

2006通り抜け

2005通り抜け

2004通り抜け

2003通り抜け









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【記事】『ハリーポッターシリーズ』が完結して

【記事】『ハリーポッターシリーズが完結して』A 

のつづきです。

《ネタバレ注意です》

Aでは、全体を時系列でみてきましたが、
テーマの答えを知るのに重要なお話がもうひとつあります。


「三兄弟の物語」

三兄弟が旅をしていて、橋のない川にでくわす。
この川は危険で、旅人を死なせる川だった。
しかし、賢い三人は知恵を働かせ魔法で橋をつくり、無事、川を渡りきる。

「死」はそれを苦々しく思い、三兄弟を罠にかけようとする。
「無事渡りきった褒美として、なんでも欲しいものを与えよう」と。

長男は、「死」を克服した魔法使いにふさわしい杖
「存在するどの杖よりも強い杖」をのぞみ、与えられる。(ニワトコの杖、最強の杖)

次男は、「死」を辱めてやろうと思い
「死んだ人が生き返る石」をのぞみ、与えられる。(甦りの石)

三男は一番賢い子であった。
「死」に跡をつけられず、先に進むことができるように
「透明マント」をのぞみ、与えられる。


その後、「死」は3人のあとをこっそりとつけていく。

長男は、「俺は最強の杖をもっている」と言いふらし、その杖を狙われ、奪われる。
そして奪われた相手に殺される。
つまり「死」の勝利であった。

次男は、死んだ最愛の恋人を「甦りの石」で生き返らせる。
喜んだ次男は、一緒に暮らし始める。
しかし、しだいに彼女が生きていたときとは違う存在であることに絶望、自殺してしまう。
やはり「死」の勝利であった。

三男は、「透明マント」でかくれていたので、
「死」はどうしても彼を見つけることができなかった。

年をとった三男は、自分の息子に「透明マント」を譲り渡す。
そして、「死」を古い友人として迎え、喜んで「死」とともに行き、
同じ仲間として一緒にこの世を去った。

--

このお話の3つの「道具」が、最終巻のタイトルの「死の秘宝」にあたります。

このお話は魔法界の「おとぎ話」(人間界でいえば「シンデレラ」のようなもの)として
知られている。
「おとぎ話」ではあるけれど、この秘宝は3つとも実在していた、
ということが最終巻の重要な要素となります。


この「おとぎ話」、はじめて読んだときはあまりよくわからなかったのだけど、
何度も反芻するうち、とても深い意味があるように思えてきました。

つまり、「死」に対してどう考えるか、ということですよね。

誰でも「死」は恐ろしい。どうやってその恐怖を乗り越えるのか。

【考え方@】

長男のように「相手に打ち勝つ」ことで「死を克服した」と考える。

これはヴォルデモートの考え方。
彼は「自分の命を奪おうとする者」に対して確実に勝利することのみを追求する。
そして、自分の命を永らえるためになら、他人の命を奪うことも平気(分霊箱の作成)

そういう考え方だから、死者を生き返らせることになんて興味がない。
他者の命に無頓着(「甦りの石」は不要)


【考え方A】

次男の願い「死んだ人を生き返らせる」ということは、つまり、
「死」を受け入れない、ということかな。
他人の死について、悲しみが強く、しかも後悔がある。

次男の考えは、普通の善良な多くの人にあてはまる気がする。
作品でも、ダンブルドアはこの「甦りの石」の魅力に負けたことが原因で、
死へと向かってしまう。
ハリーも「3つの秘宝」の話を知り、「甦りの石」をぜひ手に入れたいと考える。
分霊箱を探すモチベーションを一時期失くしてしまうほど執着する。
それは両親やシリウスに会いたいから。

ダンブルドアもハリーも大事な人たちの死をとても悲しんで、
その死に対して自分を責めているところがあるんですね。
つまり「死」を受け入れたくない(=死者を生き返らせる)という考え方なのではないかな。

【考え方B】

三男がのぞんだ
「”死”から跡をつけられないこと」の意味の解釈が一番難しいかもしれない。

おそらくこれは「不慮の死を避ける」ということを意味しているのではないかと思う。

「死」はこっそりと忍び寄る=不慮の死におそわれる
事件、事故、病気などで、不意に死ぬのは勘弁してほしい、
(だから、透明マントで「死」に跡をつけられないで生きることが有効)

でも「その時」が来たら、よろこんで「死」を受け入れるよ、という考え方。


@は、「とても危険、警戒すべき」考え方であると作者は訴えていると思う。

Aには、「人は、人の死に対して、必要以上に悲しむことはない、責めを負うこともないよ」
という作者のメッセージを感じる。
「千の風になって」と同じような意味のことですね。

そして、作者が考える「”死”との向きあいかた」が、Bなのではないかな。

できるかぎり、「不慮の死」は避けられればいい。
つまり、まだどうしてもやらなければならないことがある、
自身が納得していない状態での「死」は遠ざけたい。

でも反対に、年齢に関係なく、「やりとげた」と感じてる場合や
大切なものを守るため覚悟を決めた上での「死」は、不幸なことではない…

そのような状況であれば、おとぎ話の三男のように、「死」を古い友人として迎えられる。


ハリーポッターシリーズでは多くの人が死んでしまった。
だけど、考えてみればハリーのために死んだ人は、ほとんどが
「死」を”同じ仲間”として「受け入れて」この世を去った、と考えることができる。
(こじつけかもしれないけど、私はそう思いたいな)


「死」は誰も避けることができないから、
人が「死」に対して願ってもいい精一杯のことは
「不慮の死(無念の死)よ、来ないで」ということくらいなのかもしれない。

そんな精一杯の願いも、必ずしもかなえれないのが、切ないところです。

かなえられはしないけど、作者の「死」についてのこのメッセージが”わかること”は大事だと思う。
これらがわかっていれば、
どう生きればいいか、ということがおのずから見えてくるのではないかな。




もうひとつのテーマ「権力をもつことを許されるもの」についての答えは、
ダンブルドアの2つの言葉から。

1つめは、
死を恐れ、すべての権力を我が物にするため他人の血を流すことをいとわなかった
ヴォルデモードについて。


「屋敷しもべ妖精、おとぎ話、愛や忠誠、無垢
ヴォルデモートはこうしたものを知らず、理解しておらぬ。まったく何も。
こうしたものすべてがヴォルデモートを凌駕する力を持ち、
どのような魔法にも及ばぬ力をもつ、という真実を、あの者は決して理解できなかった。」



2つめは、「権力をもつのにふさわしい者」「死を克服するもの」について。


権力をもつのに最もふさわしい者は、それを一度も求めたことのない者なのじゃ。
きみのようにやむなく指揮をとり、そうせねばならぬために権威の衣を着るものは、
自らが驚くほど見事にその衣を着こなすのじゃ。
きみが秘宝を手に入れるなら、それを安全に所有してほしかった。
きみは死を克服する者じゃ。
なぜなら真の死の支配者は、「死」から逃げようとはせぬ。
死なねばならぬということを受けれるとともに、
生ある世界のほうが、死ぬことよりも はるかに劣る場合があると理解できるものなのじゃ。





権力を一度も求めずやむなくみなの指揮をとることとなり、
「死の恐怖」を克服し、みなのために自分の命を投げ出すことのできたハリーこそ
「権力をもつにふさわしい者」

11冊の本の中で、ハリーが成長していったこと、考えてきたこと、やってきたことを思い返せば、
この”答え”が、すっきりと心に入ってきます。


2つとも、とてもいいメッセージだなと思います。




もうひとつ余談ですが…

「透明マント」という魔法グッズと、「ハリーの目が緑色であるという描写」は、
ごく自然に1〜6巻に頻出するのですが、
最終巻を読むと、俄然この2つの重要性がクローズアップされてくる。


さっき、「人はどんなに願っても”不慮の死を避けることはできない…”」
という意味のことを書きました。

ファンタジーの世界のハリーでも、不慮の死を完全に避けることは無理のようにみえます。
ハリーは、「死の秘宝」のひとつ「透明マント」をもっていたんだけど、
それでも「透明マント」だけで、不慮の死は避けられない。
(このあたりは冒頭で書いた”ファンタジーのなかの「制約」”がうまくいってるのでしょう)
三男のお話は”おとぎ話”なのです。

ハリーは、ホグワーツに入学したとき、この”透明マント”をダンブルドアから渡されます。
「君のお父さんが君に残したものだ」と。

透明マントは、全11冊のすみからすみまで大活躍。
ハリーとロンはわるさをするときもよく使っていたけれど、
何度もハリーたちを危険から守ったのもこの透明マント。
「不慮の死」を確実に避けるグッズではないけれど、彼が仕事をやり遂げるのに欠かせない要素だった。

なぜハリーがこのマントをお父さんから残されたか?ということについて、
私はずっと大して気に留めてなかった。

最終巻で、びっくりです。

この透明マントが「死の秘宝」のひとつであり、世界にひとつしかないものだと知ってまずびっくり。

さらに、ハリーのお父さんは、「死の秘宝の三兄弟」の三男の子孫だったことがわかり、またびっくり。
あの、いちばん賢い三男の子孫。

ハリーは三男の末裔。
お父さんは死んでいても、
お父さんの血と、お父さんが残した「透明マント」は、ずっとハリーを守ってきたんですね。


また、お母さんの「愛の保護呪文」は、2度もヴォルデモートからハリーを守った。

もうひとつ、ハリーがお母さんから受け継いだものは、その緑色の目
この緑の瞳をみるたび、スネイプは自分の困難な仕事をやり遂げるための力を振り絞ったのだろうと思います。
スネイプの頑張りなくして、ハリーが仕事をやり遂げ、生き延びることは不可能だった。
(スネイプの物語については、詳しく書かないけどとても感動的です)

つまり、ハリーはずっとずっと、お父さんとお母さんに守られて生きていたのですね。


これも全巻読んで初めてわかるからくりです。

こんな”からくり”を読み解くと、
人々の愛の深さとそれらに包まれたハリーの幸福が浮き彫りになり、
とても満たされた気持ちになれます。




《おわり》


コメント更新: 08年10月23日(木) 12:29 / 投稿数:2 / 参照投稿TrackBack(0)
名前() 08年10月23日(木)
訂正しました(卯月) 08年10月23日(木)



【記事】『ハリーポッターシリーズ』が完結して のつづきです。


○「死」に対する考え方

○権力をもつことを許されるもの、権力をもつべき者とはどういう者か

「この2つのテーマに対する答え」を
私はこの作品から作者のメッセージとして受け取りました。
その根拠ととなる情報を、おぼえがきかねてざっくり書いときます。

《ここからは思いっきりネタバレ》

【6巻「ハリーポッターと謎のプリンス」が終わった時点での謎】

ハリーとヴォルデモートはなぜお互い「心を読み合う」ことができてしまうの?
ハリーがヴォルデモートと同じく「蛇語」を話せるのはなぜ?

ハリーの杖がハリーの意志に関係なく、ヴォルデモードの杖に勝ってしまったのはなぜ?

スネイプは、イジワルだったけどほんとはハリーの味方なんじゃないの?
ダンブルドアを殺してしまうなんて、スネイプはほんとにヴォルデモートの腹心なの?

ダンブルドアは、なぜあんなにあっけなく死んでしまったの?
ハリーが「使命」を果たすために、ダンブルドアが言い残したことは、あまりに少なく
わけがわからないのはなぜ?

「分霊箱」はいったいどんな性質のもので、どうやったら破壊できるの?

などなど。



最終巻「ハリーポッターと死の秘宝」では、
これらすべての謎が解き明かされてフィナーレを迎えます。

すべてを知ったうえで物語の構成を時系列で説明すると、
以下のような感じになります。

【ハリーポッターシリーズ あらすじ】

人間(マグル)の中に魔法使い(魔法族)が混ざって住んでいる世界。
マグルのほとんどは、魔法使いの存在を知らない。

マグルの中で、生来特別な”力”をもつ一部の子供と、魔法族の子供たちは
11歳になると魔法学校に入学し、魔法をまなび、17歳になると大人の魔法使いになる。

魔法族の中には、昔から”純血主義”(魔法使いの中からマグルの血を排除する)
の考えをもつ者たちがいる。
彼らは、
”純血な一部の魔法使いたちが、すべての魔法族とマグルたちを力でで支配する世界”
を目指す。
そのためには禁止されている魔法(闇の魔術)を使うことも、”殺人”すらもいとわない。

この”闇の魔法使い”の中で、最も力をもったのがヴォルデモート。
彼は、魔法族とマグル界すべての支配者になるべく、
魔法学校の学生時代以来、多くの信奉者を集める。

そんなヴォルデモートが唯一恐れたもの、それは自身の「死」

彼は、「死」を免れるための禁断の魔法を知る。
人を殺し、生贄を捧げることによって、自分の魂を分割して保存できるという魔法。(「分霊箱」の魔法)
肉体が死んでも、この「分霊箱」がひとつでもあるかぎり、復活が可能。

6つの分霊箱を作り終えたヴォルデモートが次に恐れたのがある予言
「ヴォルデモートを倒す者が7月の終わりに生まれる」

この予言の人物がハリー・ポッターであると考えたヴォルデモートは、
ポッター家を襲い、ハリーの父母を殺す。
その後、ひとり残った赤ん坊のハリーを殺すため、ヴォルデモートは「死の呪文」を放つ。
しかし、ハリーの母が命を賭してハリーにかけた「愛の保護呪文」によって、
「死の呪文」ははねかえり、ヴォルデモートに命中。

このとき、ヴォルデモートの魂が砕け、
その一部が、その場にあった唯一の生命体=”ハリーの体”に入り込む。
結果として、ハリーの体は、ヴォルデモートの7つめの「分霊箱」となってしまう。

このとき受けた傷がハリーの額に稲妻型に残り、
ハリーは分霊箱であるがゆえ、ヴォルデモートと”交感”(お互いの心をよみあう)できるようになる。
(”閉心術”や”開心術”で、この”交感”はコントロール可能。
お互いにとって”交感”はその後「諸刃の剣」となる)

あらかじめ「分霊箱」をつくっていたヴォルデモートは、死ななかったものの、
”霞”のような存在になり身を隠す。

こうして魔法界は一旦平和をとりもどすが、
それが長くは続かないことをダンブルドア(魔法学校ホグワーツ校長)は見抜いていた。

彼は、やはりハリーこそがヴォルデモートを倒し、
この世の平和を守ることのできる唯一の人物であると考えていた。
以後、ダンブルドアはその「来るべき日」に備えて、ハリーを守り、導いていくこととなる。

魔法界において、赤ん坊のハリーはヴォルデモートをやっつけた英雄として有名になる。
その環境はハリーの人格形成によくないと考えたダンブルドアは、
ハリーを母親の姉一家(マグル)に預け、育てさせる。
ハリーは叔母の家でいじめられ、不遇であった。
しかし、ダンブルドアの思惑どおり
彼の我慢強さや謙虚さはこの幼年時代に形成される。

ハリーは11才で魔法学校ホグワーツに入学。
魔法界でハリーが「生き残った男の子」であることを知らないものはなく、
ハリーには味方も敵(ヴォルデモードの信奉者たちやその子供)も大勢いた。

親友のロン・ハーマイオニーとともに学校で魔法の勉強を始めるが、
コツコツ勉強するタイプではないハリーとロン。
学校と寮生活を通して、”実践”で、魔法術と人として大切なことを学んでいく。

ダンブルドアの予想通り、
ヴォルデモートが自身の復活と世界征服へ向けて行動を起こしはじめる。

ハリーは、自分の宿命も知らないまま、それに立ち向かう中心人物となる。
大人の助けを借り、知恵をしぼり、仲間と協力して、命がけでさまざまな「危機」を乗り越える。
その中には、悲しい「別れ」もあった。
これらを通してハリーは、
生と死、愛、友情、勇気、信頼などの意味や重要性を学び、年齢を重ねる。

同時に、自分の両親の死にまつわる事実や、自身の宿命について徐々に気づかされることとなる。
温かい家庭の味を知らず、ときどき寂しさに襲われるハリー。
「なぜ自分だけが・・・」という思い(両親を奪われ、恐ろしい存在と戦いつづけていかねばならない)は、
その後ずっとハリーにつきまとう。

ついに、ヴォルデモートは、古の魔術とハリーの血を取り入れることにより、肉体と力を取り戻す。
ハリーの血にはハリーの母の「愛の保護呪文」が流れており、
ヴォルデモートの肉体には、(本人はそうとは知らずに)保護呪文の一部が取り込まれることとなる。
(その結果、2人の結びつきは一層強いものとなった)

ハリーがホグワーツ6年生の時、ダンブルドアは自分の死期が近いことを悟る。
彼は、ハリーに「ヴォルデモートの分霊箱のすべてをみつけだし、完全に破壊する」
という”仕事”を言い渡す。
その”仕事”を手伝ってよいのは親友のロンとハーマイオニーのみ。
これは、6つの分霊箱の破壊を、なるべくヴォルデモートに知られずに遂行するためであった。

ハリーと一緒に分霊箱のひとつを探し破壊する途中で、ダンブルドアは死亡。

ダンブルドアから残されたヒントはあまりに少なく、ハリー、ロン、ハーマイオニーの旅は困難を窮める。

ダンブルドア亡き後、魔法省とホグワーツをのっとったヴォルデモートは、純血主義をすすめ、
マグル出身の魔法使いを拷問、監禁。
ヴォルデモート信奉者(死喰い人)以外の魔法使いたちも、非道なやりかたに従わざるをえない。
手段を選ばず組織的にハリーの居場所を捜し、
ヴォルデモート自らハリーの命を絶つことを至上命題とする。

ヴォルデモートは、ハリーを殺し、自分の力をより強固なものにするため、
「死の秘宝」のひとつ「ニワトコの杖」(どんな相手をも打ち負かす最強の杖)を探しだす。

「最強の杖」を手に入れ、ハリーとの対決に万全を期したヴォルデモートだったが、
自分の分霊箱が破壊されつつあることを知り、怒り狂う。

一方ハリーは、苦労の末、5つの分霊箱の破壊に成功。
6つめはヴォルデモートの傍らで守られている蛇であり、
7つめの分霊箱は自分自身であることを知ることとなる。

ハリー自身がヴォルデモートに殺されない限り、
すべての分霊箱を破壊することはできないことを知ったハリー。

はじめてダンブルドアの仕組んだ残酷な「計画」を思い知る。
(ハリーに与えられた仕事=「すべての分霊箱を破壊する」=「最後にはハリー自身が死ぬこと」)

自分のために死んでいった両親や多くの人たちを思い、
今、生きている人たち=自分の愛する人たち を守りたい、と強く願ったハリーは死を覚悟、
無抵抗でヴォルデモートの前に自分の体を投げ出す。

ヴォルデモートの「死の呪文」がハリーに命中

しかしハリーは死ななかった。

ハリーの母の「愛の保護呪文」がヴォルデモートの中に流れており、
ヴォルデモートが死なない限り、ハリーは死なないのだ。

ヴォルデモートの「死の呪文」によって破壊されたのは、
ハリーの中にあったヴォルデモートの魂のかけらのみ。
ハリーの体はようやくハリーだけのものになり、稲妻型の傷跡は消えていた。
これでハリーはヴォルデモートの分霊箱ではなくなった。
(つまり7つめの分霊箱は破壊された、しかもハリーは生きたまま)

ハリーは、そのことを死と生の境界でダンブルドアから知らされ、
ダンブルドアの本当の「計画」も知る。

すべては、ハリーが成長し、謙虚で勇気をもち、人を信じ、
自分を犠牲にしても他者への愛を貫くことができなければ、
成し遂げられないことだった。

ダンブルドアはすべてを「推測」し、見通して、ハリーに仕事を残して死んでいったのだ。

ハリーとヴォルデモートの最後の対決。
最後の分霊箱、”蛇”も破壊した。

ヴォルデモートの「最強の杖」の真の持ち主は、ハリーだった。(詳しくは後述※)
ヴォルデモートは、自分だけが全知全能であると信じていたが、実は無知であったのだ。

ヴォルデモートの「死の呪文」とハリーの「武装解除呪文」がぶちあたり、
ヴォルデモートは自分の「死の呪文」のはねかえりを受けて死ぬ。

すべての分霊箱が破壊された今となっては、この「死」はほんとうの死であった。


こうして世界は平和となった。

(※「最強の杖」については、その所有権が問題となる。
この物語では「杖」の所有者を打ち負かして「杖」を奪ったときのみ、「杖」の所有権が勝った方の魔法 使いに移ることになっている。所有権のある魔法使いがその杖を使用したときのみ、その「杖」の最高の効果が得られる。「最強の杖」も同様。ヴォルデモートはラストのシーン で、その「所有権」を見誤っていたため、ハリーとの対決に敗れた)

【あらすじ おわり】


《つづきます》

ハリー・ポッターと謎のプリンス ハリー・ポッターシリーズ第六巻 上下巻2冊セット (6) ハリー・ポッターと謎のプリンス ハリー・ポッターシリーズ第六巻 上下巻2冊セット (6) J. K. ローリング


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”ファンタジー”というジャンルの作品には、多くの大ヒット作があります。
その反面、ものすご〜くつまんないものも なぜか”ファンタジー”に多いように思う。
”宇宙人が地球にやってきて…”みたいな話には(これはファンタジーというよりSFか?)
とんでもない駄作があったりするんですよね。
(駄作ゆえ、人知れず埋もれていった作品が多いのではないかな)

同じ”ファンタジー(っぽいもの)”なのに、この大きな”差”はどこからくるのだろう。

たぶん、現実には起こらないことが起こる世界で、
「なんでもあり」になりすぎると、ダメなんだと思う。

魔法とか、宇宙人の特殊能力とか、タイムとラベルとか、エスパーとか、
一見なんでもありになってしまう世界の中で、いかに「制約」をうまくつくるか、

そこにファンタジー作品が成功するかどうかがかかってるのではないかな。

現実に起こりえない状況に生きる人たちを通して、
現実世界を描くことだけではうまく伝えることができないことを伝えること

それがファンタジーのファンタジーであるゆえんで、
そこがうまくできてるファンタジーは”面白い”、と思えるんだろう。

仏教の経典や聖書が、現実にはありえない物語を織り交ぜることによって、
多くの人に「真理(と思われること)」とか「人の生きる道」を
伝えようとしているのにちょっと似てるかな。

子供に何かを伝えたいなら、こういう手法はなおさら有効でしょう。

ハリーポッターシリーズが伝えたいもの、
それは、いうまでもなく、愛、友情、勇気などなど

それらの「伝えたいこと」は、1巻から6巻までの根底に常に流れていて、
十分そのメッセージは伝わってくる。

でも最終巻「ハリーポッターと死の秘宝」を読み終わり、
このシリーズの全構成を理解し、俯瞰したときに、
別のメッセージがある、と思いました。

それは、もっと深く大きなもので、
子供たちだけでなく、どちらかといえば大人に向けられたものではないかな。



結論から言えば、そのメッセージは…


○「死」に対する考え方

○権力をもつことを許されるもの、権力もつべき者とはどういう者か


という、2つのテーマに対する答え。

計7巻11冊の本で10年の歳月をかけて
作者はこれを伝えたかったのではないか。

私なりにみつけた「答え」をボチボチ書いていこうかな、と思います。

《つづきます》


「ハリー・ポッターと死の秘宝」 (上下巻セット) (ハリー・ポッターシリーズ第七巻) 「ハリー・ポッターと死の秘宝」 (上下巻セット) (ハリー・ポッターシリーズ第七巻) J. K. ローリング


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《その時歴史が動いた/
興亡 北の黄金王国〜奥州藤原氏 vs 源氏〜》

NHKで6月に放送があったのでおぼえがき。

平安時代後期、藤原摂関家の係累にあたる藤原経清が陸奥国府の多賀城に派遣される。
当時の奥州は蝦夷と呼ばれる原住民が中央の支配を受けていた。
”金”がよく採れる土地であったが、蝦夷たちがその恩恵を受けることはほとんどなかった。

経清は蝦夷の有力豪族・安部氏の娘と結婚、男児をもうける。

陸奥守に源頼義が任じられると
中央の圧政に耐えかねた安部氏が反乱を起こして南下。(1056年)

頼義の部下にあたる経清は、立場上、一旦朝廷側に味方する。

しかし、安部氏の娘を妻にもつ友人が、朝廷側に味方しているにもかかわらず頼義に処刑されるのを目の当たりにする。

頼義の非道さに憤った経清は安部氏に寝返る。

劣勢となった朝廷側は、安部氏と同じ蝦夷の豪族・清原氏と手を組み、安部氏と経清の連合軍を鎮圧する。(前九年の役)

これにより経清は「裏切り者」として残酷な処刑を受ける。

藤原経清の妻(安部氏の娘)は、息子(経清の子)を守るために清原氏の棟梁の妻となる。
経清の息子は清原氏の三男として成人し、清原清衡と名乗る。
1083年、清原氏に跡継ぎ争いが起こると、清衡は、当時の陸奥守・源義家(頼義の嫡男)の力を借りて内紛に勝利。(後三年の役)
清衡は清原氏の棟梁となり、実父の姓を名乗る。
ここに「藤原清衡」が誕生する。(奥州藤原氏のはじまり)

朝廷側の藤原氏と蝦夷の安部氏の両方の血を受け継ぎ、
蝦夷の清原氏のもとで育った藤原清衡は、奥州の原住民が平和に暮らせる政治をめざす。

まず朝廷への莫大な貢物(金や馬など、奥州の豊富な産物)
派遣されてきた役人への協力
文化レベルの高さを示すため、町を整備し寺院の建築(中尊寺など)
こうして信頼を得て、事実上、朝廷に藤原氏の奥州支配を容認させる。

中心地・平泉は平安京につぐ日本第二の大都市となり、17万騎という強大な軍事力を誇る一大地方政権に成長。
(当時の日本は西日本-平家 関東-源氏 東北-奥州藤原氏の3大勢力に支配されていた)
清衡・基衡・秀衝・泰衡と4代100年間、
関東以西の源平合戦を尻目に、繁栄した。

しかし、この源平の争いが終結を迎えたことが、奥州藤原氏を滅亡へと導く。

平家を滅ぼした源頼朝の次なる標的は奥州藤原氏。
頼朝は朝廷を利用して圧力を強めてくる。

そこへ源頼朝に追われた弟・義経が藤原秀衡を頼って逃げてくる。
秀衝は義経を棟梁として頼朝に立ち向かう決意をするが、すぐに病死。

あとを継いだ藤原泰衡は、父親の遺言を守らず、義経を自害に追い込み、頼朝への忠誠を誓う。

しかし、頼朝にとって奥州政権は邪魔な存在であることはかわらない。
頼朝は義経をかくまった名目で奥州に出兵。
奥州藤原氏は滅亡する(1189年)



日本史の教科書にはさらっと登場する奥州藤原氏と平泉の文化。
どちらかといえば『おくの細道』の記述のほうでよく知られているかもしれません。

義経とのからみで奥州藤原時代の末期については知っていても、
奥州藤原氏栄華に至る経緯については無知であった私、この放送は興味深かったです。(大河『炎立つ』はみてなかった…)

中央の源平合戦で起こったのと同じようなことが奥州でもおこっていたのですね。

「氏族の棟梁である夫がいくさに敗れ、その息子を守るために敵方の棟梁に妻となり息子を育てる」

源義朝は平治の乱で平清盛に敗れ死亡。義朝の妻・葵御前は義朝との間に生まれた3人の息子を守るため清盛の妾となる。当時、乳児であった三男が義経であり、父の敵であった平氏をほろぼす。

奥州では、藤原経清が清原氏との戦いに敗れ処刑される。経清の妻は、息子を守るため清原氏の妻となり、成長した息子は清原氏をやぶる。

なんとよく似た構図なのでしょう…

また、奥州藤原氏は源氏とことごとく因縁深い。

源頼義(経清の上司→反抗の末処刑)
源義家(清衡が味方につけ、奥州を統一)
源義経(幼い頃秀衡が養育→逃亡の折は秀衡がかくまう→泰衡が追い詰め自害させる)
源頼朝(奥州藤原氏を滅亡させる)

奥州藤原氏を生み出したのも、発展させたのも、そして滅亡させたのもすべて源氏がらみということですね。
源氏は関東を拠点としており、奥州と隣接していました。
だから地理的に考えればこの”宿命関係”も自然なことかな。

『その時歴史が動いた』という番組の一番おもしろいところは

最後の「今日の”その時”はどういう意味をもつか」
という部分だと思います。

今回の”その時”は「奥州藤原氏の滅亡」

そしてそれが歴史上どういう意味をもつかというと

「地方の時代のはじまり」ということでした。

奥州藤原氏を滅亡させた源頼朝が政治の拠点にさだめた場所は、
京から遠く離れた鎌倉。

これは奥州藤原氏を真似たのであると。

朝廷と距離をおきつつ上手につきあいながら、独自の政治を行う。

京都一辺倒だった日本の政治が地方に分散していくきっかけになる大きな事件であったと”その時”を位置づけていました。(のちの江戸幕府にもつながる)



中2の娘が歴史の授業でこの番組のビデオをみたらしいです。
娘は「義経がでてくるとこくらいしかわからんかったあ」と言ってましたが、確かに中学生にはちとむずかしいかな。
でもタイムリーに習ってるところの歴史番組をみせてくれるなんて、いい先生やん。



この奥州藤原氏の平泉の世界遺産登録、
期待してたんですが…

残念でした。

平泉、世界遺産“落選”…政府推薦で初めて登録ならず

7月8日8時0分配信 スポーツ報知




確かにちょっと(世界遺産の)数が増えすぎてきたかな…という感じはありますね。
今後、登録はむずかしくなるんだろうな。
わがふるさと明日香村・藤原京も申請しているみたいだけど、
ちょっと無理だろうなあ…

【記事】中尊寺金色堂大修理



コメント更新: 08年07月11日(金) 14:02 / 投稿数:2 / 参照投稿TrackBack(1)
奥州藤原氏(小夜) 08年07月10日(木)
『炎立つ』(卯月) 08年07月11日(金)


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