宇宙と天文学.
記事 : ブラック・ホールは「不適切な」方法で光を曲げます 
05年02月15日(火)


Black holes bend light the 'wrong' way

夜空に輝く星々に、ブラック・ホールが悪さをしているかもしれないそうです。ブラック・ホールのような重い物体によって光が曲げられる「重力レンズ効果」は既に天文学の観測結果では考慮されているのですが、この記事で指摘されているのは、ブラックホールや重い天体が回転している場合、その周辺では「negative refraction(負の屈折率)」という特異的な光の屈折状況が生じるという事です。「負の屈折率」は近年発見されたばかりの現象ですが、理論上では、星々の光は90°偏向しているかもしれないそうです。実際にはこのような効果が生じる領域は非常に限られる為、目に見える宇宙を全面的に書き換えるという様な事にはならないだろう、という指摘もあるようですが、どの程度影響するのかちょっと気になったりしています。

屈折効果は天文学者達の結果を歪めているかもしれません

天文学者達は、遠くにある星々についての彼らの観察について、誤った 解釈をしているかもしれない、と数学者達は示唆しています。

星々の光が、回転するブラック・ホールに接近して通過する場合には、奇妙 な方角へ曲がっているかもしれない、と研究者達は語っています。それは、 その光の源の空での視認位置を予想外に変えるかもしれません。その原因 はnegative refraction(負の屈折率)と呼ばれる最近発見された現象です。 物理学者達は現在それを解明しようとする努力を続けています。

天文学者達は、ブラック・ホールのような重い物体によって光が曲げられ るという事実を説明するために、既に彼らの観測結果を調節しています。 その影響は「重力レンズ効果」と呼ばれています。しかし、University Parkに有るペンシルベニア州立大学の数学者のAkhlesh・Lakhtakiaは、 ブラック・ホールが回転している場合、何が起こるかについての研究を 行いました。このケースでは、光は従来の理論によって予言されたのとは 反対の方角へ曲がっていました。

「天文学の測定値、特にブラック・ホールや他の重い星に関係のあるもの は、注意深い再解釈を必要とします」、と英国・エディンバラ大学の Tom・Mackayは語っています。彼はLakhtakiaと共に「Physics Letters A」 のオンライン版で公表されたこの研究の解析を行っています。

物質的な現実

負の屈折率は、天文学分野では新しいものですが、材料科学の分野では 近年物議をかもしていました。光が境界を越えた場合、それは特有の方法 で曲がっています。このため、水中に有るオールは、あたかも水中の部分 が表面の方へ曲がっているかのように見えます。

しかし2001年に、米国のある研究者が、特定の人工材料が反対の方向に 光を曲げる、という事を示しました。もし水がこの特性を持っていれば、 水中のオールは表面から遠ざかるような角度を持つでしょう。
訳補 : 負の屈折率の実験的検証
Experimental Verification of a Negative Index of Refraction
R. A. Shelby, D. R. Smith, and S. Schultz
Science誌 6 April 2001 Volume 292 Number 5514 掲載ページ 77

この意外な新事実は、突発的な研究の増加をもたらしました。それらの 多くは、負の屈折率を生じさせる材料の理解と開発に注目しました。 「しかし、これは厳密に同じ現象なのだ」、とMackayは指摘しています。

昨年、MackayとLakhtakiaは、もし地域重力場が正しい特性を持ったならば、 負の屈折率が真空中でも生じるかもしれない、という事を実証しました。 今、彼等はこれらの必要条件を満たすものを識別しました。それは回転 するブラック・ホールです。非常に大規模な回転する星でも同じ効果が 生じるだろう、とMackayは付け加えています。

強力な場

これは、天文学者達に観察結果のうちのいくつかを再考することを強いる かもしれません。「光の偏向は重大なものかもしれません」、とMackayは 語っています。理論上、星々の光は90°変化するかもしれません。それは、 見た目では、空の完全に異なる部分に星々を配置します。「そしてより遠く に星々が有る場合、これらの効果が観察の邪魔をしているという事はより 有りそうなことに思えます」、とMackayは付け加えています。

しかし研究者達の中には、この効果が実際上どれだけの影響を与えている のか、と疑問を呈している人々もいます。ドイツのハイデンベルグ大学の 理論天文物理学者であるMatthias・Bartelmannは、MackayとLakhtakiaの 論文を非常に面白いものだと評しています。「しかし、天文学との関連性では どうでしょうか」、と彼は語っています。Bartelmannは、この効果が 重力場が非常に強い領域でのみ生じる事が可能な物なので、その影響は 宇宙の小さな領域に制限されるだろうという事を指摘しています。

しかし、この効果は他の用途を見つけるかもしれません。理論天文学者達 は、現在宇宙の進化と成長について記述する方程式中の重要な数である 宇宙定数(宇宙項)が肯定的なものか、それとも否定なものなのか、と いう事について議論をしています。Mackayは、一定のものが肯定的な場合 にのみ、負の屈折率が生じる事が可能だ、と語っています。したがって、 そのような屈折作用の実験に基づく立証は、この討論を解決するの支援 することができるかもしれません。


関連事項 :  アインシュタインはなぜ宇宙項を導入したか?

この記事に出てきている Pennsylvania State Universityによるプレス・リリース


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