脳と振る舞い.
記事 : 数の名前を持たない種族は数えることができません 
04年08月19日(木)


Tribe without names for numbers cannot count

ブラジル・アマゾンに住む採集狩猟生活者であるPiraha族のグループ(200人ほど)を対象として、「数詞」が数の認識について影響するのかどうか、という研究が行われたそうです。このグループの人達の数の数え方は<ひとつ、ふたつ …… いっぱい>というものだそうですが、数の違う電池、魚などが写っている画像を使う「マッチング課題」の試験を行ったところ、数が3以上になるとその物体が何であっても同数だと判定するのに苦労していたそうです。また、この研究結果によって、言葉が思考を決定するのか?という事に関して長い間続いている議論が再び活気を帯びてきているそうです。

アマゾンでの研究は数の概念が固有かどうかについての討議を活気づけます

アマゾンの種族に関する研究は、人々が「数詞」なしで数えることが できるかどうかに関する猛烈な討論に油を注いでいます。

心理学者、人類学者、言語学者達は、動物や幼児あるいはある種の文化が、 それらを記述する為の言葉無しで数を概念化する事が可能なのかという 事に関して長い間疑問を抱いてきました。

その問題に取り組むために、ニューヨーク・コロンビア大学の 行動学研究者であるPeter・Gordonはアマゾンへ旅立ちました。彼は、 Piraha 族を対象として研究を行ないました。Piraha 族は200人程の 採集狩猟生活者のグループで、彼等の数の為のシステムは、おおよそ 「1」、「2」と「たくさん」を意味する言葉から成り立っています。

Gordonは、Piraha族が数を示す単語を欠いているとしても、1または2を越える 数について種族のメンバーが正確に数え、イメージすることができる かどうかを検査するために一連の課題を設計しました。 例えば、彼は1グループの電池を見て、それからそれと一致する量を 並べてくれるように彼等に頼みました。

Piraha族のメンバー達は、彼等が扱う数が3を越える様になった後、 これらの課題を実行する事に苦労していた、とGordonは「Science」 誌で報告しています。また、彼等の成績は、扱う数が増加するのにつれて より悪くなりました。「彼等は全く経過を追う事ができませんでした」 、と彼は語っています。

対立する見解

この分野での他の研究者達は、この研究を歓迎しました。しかし、 彼等はそれが何を意味するかについて一致してはいません。 ニュージャージー州ピスカタウェイに有るラトガーズ大学の心理学者である Charles Gallistelは、Piraha族の人々が、一つのアイテムの量が 正確に別のものと等しいという事が、単に認識出来ないだけかもしれない。 したがって、彼等は「一致課題」に関して問題を抱えているのだ、 と言います。彼は、人々がすべての数をイメージする固有で非言語的な 能力を所有しており、言語は彼等がそれを洗練するのを単に支援するのだ、 と主張しています。

マサチューセッツに有るハーバード大学の心理学者であるSusan・Careyhは、 この事に関して反対の事を主張しています。彼女は、私たちが極少ない数を 越えて数える固有の能力を欠いており、Piraha族の数に関する苦労は それを証明している、と主張しています。「それは目を見張るような 発見です」、と彼女は語っています。

Careyhや他の研究者達は、子供達と少数の動物達は2つタイプの基本的な 「集計能力」を生まれつき持っているが、それは制限されたものだ と考えています。まず始めに、彼等は1つ、2つ、または3つの物体を 彼等の記憶領域にイメージとして記録することが出来ます。それから、 彼等は「約20」のような多数に関する評価を作ることができます。 キャリーはPiraha族の人々がこれらの固有のシステムに依存していると 考えています。

Whorf仮説

より広いレベルで、この研究は1930年代の終わりにBenjamin・Lee・Whorf によって提唱され、長い間論争の的になっている「言語は、私たちが考える 方法、あるいは私たちが考えることができることを決定することができる」 、という仮説にも注意を向けます。

訳注: 言語相対性仮説(サピアー・ウォーフ仮説)
「言語は、単なる伝達の手段ではなく、思考の手段でもある」という見解。 1930年代に活躍した言語人類学者Edward・SapirとBenjamin・Lee・Whorfに ちなんで名付けられている。

しかし、メリーランド州ボルティモアに有るジョンズ・ホプキンズ大学の 認識心理学者であるLisa・Feigensonは、Gordonの研究が言語が 人々が何か完全に新しい事柄について思考する事を可能にする、 という事を示す最良の例のうちの1つだ、と語っています。 「これは非常に強力な証拠です」、と彼女は言います。この場合、 言語の不足はPiraha族の人々が多数に関して考えることを妨げている ように見える、と彼女は言います。

しかし、この最新の研究が「他の例で言語が考えを形作ることが できるかどうか」、という議論を解決する事はないだろう、 とFeigensonは指摘しています。「私は、まだ結論は出ていないと思います」 、と彼女は語っていました。


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参考リンク : 成層圏の向こうではさん
この記事の元論文を読んで、ピラハー族について、実際のデータがどんなものだったのか、短期記憶について等の考察をなさっています。


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