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10年02月02日(火)
ドナ・モリッシー 青山出版社+ニューファンドランド島の小さな漁村、そのはずれにある、今にもくずれそうな小さな家。そこに、知的障害のある母親ジョージーとしっかり者の祖母リジーと暮らす、少女キット。すぐに男の人についていってしまうジョージーの振る舞いのおかげで、村人たちから冷たい仕打ちを受ける毎日だが、リジーがつねにキットとジョージーを守ってくれていた。そのリジーが、突然死んでしまう。村の人たちは、キット親子を村から追い出そうとするが、キットは自分の家とジョージーとの生活を必死に守ろうとする。そんなある日、キットはシドと出会う。たがいに深く愛し合うようになるふたり。しかし、ふたりを待っていたのは、あまりに過酷な運命だった―。最注目のカナダの新鋭渾身のデビュー長編。ウィニフレッド・ホルトビィ賞受賞。 ■ 良かったです。 少女キットの一本芯が通っている感じがなんともいえなく良いです。 こういった小さな村って、多分どこも似たような感じなのだろうなあ、という閉塞感みたいなのも伝わってきます。 なんというか、皆知り合い!みたいな感じ。 知的障害のある母ジョージーと、父親(村人のうちの誰かであることは間違いない)の間に生まれたキットと、牧師の息子シドの恋愛物語なのだけれど、その辺の恋愛の描き方も凄く良いです。そしてこのシドが良い子なのだ…………。(牧師夫婦は意地悪なのに!) 村に住んでる奥さんたちは、殆ど皆キットに冷たいのですが、それは多分もしかしたら自分の旦那がキットの父親かもしれない、と思うからなんですよね。 最後、キットが決断する所が本当に神々しくて強くて素晴らしいと思います。 タイトルの意味も凄くわかる。 誰しもその人の意志にまでは介入できない、というのがよくわかる本でした。体や言葉で色々奪えたとしても、一番大切なところは奪えないんだなあ、と思う本。 ってことは意志を強くもたねばなーということをキットから学んだ作品でもありました(主人公キットは凄く根性があって強い子) この作者のデビュー作みたいなのだけれど、2作目も翻訳してほしい。 どうもあまり売れなかったのか、このデビュー作しか翻訳されてないんですよねえ。 料理の場面や、ジョージーの何だか憎めない感じもいいです(少し大きな子供みたいな) ■
10年02月02日(火)
アクセル・ブラウンズ 河出書房新社+アディーナの母は、家中をゴミで埋め尽くしている。父が亡くなったころからだ。そのころからアディーナを抱きしめてくれることも、食事を作ってくれることもなくなった。壊れた母の心を救い、母の呪縛から解き放たれる道は──。 ■ 表紙が酒井駒子さんだったのと、ぱらぱらめくってみると食べ物の描写が美味しそうだったので借りてみた本。 今回図書館本でアタリだったのは、この本と「それぞれの少女時代」だけでした。残念。 主人公アディーナがとっても可愛い本。 抱きしめてやりたくなるぐらいいじらしい。 彼女が通る道や家の中を表現している言語が、「ぴょんぴょん階段」だったり、「なんてきれいなのの箱」、「階段のよく見てみなくちゃの包み」、「とても捨てられないわの木箱」、「廊下の棚に積んだああ、これは大切」とかなので、 素敵なところに住んでるのだなあ、と思っていたのだけれど、段々全貌が明らかになってくるにつれて、そのアディーナの目から見た、「なんてきれいなの」の箱、やなんかは全部ゴミだということがわかりはじめてくる。 母のカーラは、家の外の人間を、ノック人と呼び、アディーナにも関わらないように、悪い人間だから家に入れては駄目、と教え込んでいる。 子供にとって母の言う事は絶対なのだな、と思う。 それぐらいアディーナが一生懸命言われた事を守っている所は本当に胸が痛くなる。 「ノック人と仲良くしては駄目」なので、学校でアディーナは友達もいないし、家の中がゴミだらけなのでアディーナも臭く、悪がき連中からは苛められる。 母のカーラは気まぐれな愛情しか注がない。 例えば口だけだったり、旅行に連れて行って良い思いをさせ、期待をもたせたり。 ご飯もお風呂もないのでアディーナは全部自分でする。 カビが生えたパンを食べたり。 が、このアディーナに新しい友達が出来る。 隣人のエアラ。 エアラはツルを保護する仕事をしているのだけれど、そのエアラとのふれあいで段々アディーナが外の世界を広げていく。 その辺の描写は見事。そしてそこに、母に悪い事をしているとの葛藤やなんかがない交ぜになっているところも。 子供にとって、母親(や父親)の愛情ってやっぱり必要なのだなあ、と思う。 これを読んでる間中、早く誰か気付いてあげて!!って思っていたのだけれど家の外は綺麗だし母は綺麗な格好をしてるので誰も気付かない所とか、モダモダしてしまった。 アディーナがエアラの家で、りんごのパンケーキを食べてるところとか、お風呂に入るところなんかの描写も凄く良い。 終わり方も上手いというか、リアリティがあった。 こう、日本人だったら上手くめでたしめでたし、で終わらせるような所をそうしていないというか。 ■
10年02月02日(火)
アニカ・トール・著 新宿書房+第2次世界大戦初期。ナチス・ドイツの支配が強まるオーストリア。ユダヤ人への弾圧から逃れ、生きるために、スウェーデンへやってきた500人の幼い子どもたち。そんな中に、ふたりの姉妹がいた。華やかな街ウィーンの両親の元を離れ、たどり着いたのは西海岸の寂しい漁師町。慣れない異国の地での生活と人々との交流の1年を描く。 ■ ナチスから逃れ、ウィーンからスウェーデンに親元を離れやってきた、姉妹の姿を描く物語。 ナチスものは、「アンネの日記」やなんかでも落ち込むので最近ではあまり読まないようにしていたので久しぶりです。 とても面白かった。 姉のステフィと妹のネッリの対比も、そうそう子供の頃ってこうだった!と昔の自分の子供の頃の妹との関係を思い起こさせました。 ステフィは思春期なので、起こっている事が大体わかるし、新しい環境にもなかなか慣れないのですが、ネッリの方は小さいのですぐ慣れてしまうところとか(ナチスの事や親とどうして離れるのか、という事もあまりわかっていない模様) ステフィとネッリの里親も180度ぐらい違う。 ステフィの方は、厳しくて地味な夫婦の家、ネッリの方は明るくて良い匂いのしそうな家、という具合。 特にステフィの里親の、厳しいメルタと無骨だけど優しいエヴェルトは、「赤毛のアン」のマリラとマシュウを思い起こさせます。 その辺の描写も面白い。 私個人としては、こうこうこうなるのだろうな、というようにステフィの行動を想像していたのですが、なかなか馴染めない所なんかは本当にリアルで良い意味で裏切られました。 ナチスの手がかかっていないところから出ると、ユダヤに対する差別心みたいなものは、時代がそうであっても殆ど抱かないのだなあ、というようなことも思いました。 集団心理って怖い。 所々ちょっと泣きそうになってしまった。 特に母親と父親からの手紙の部分。 早く2巻が読みたいです。 が、図書館には3巻と4巻は所蔵されていないみたいなのでリクエストしたいです(今年からちょっとリクエスト本の選別が厳しくなったみたいなのだけど大丈夫かしら……) ■
10年02月01日(月)
あんびるやすこ・著 岩崎書店+シルクの別荘にコットンたちといっしょにいくことになったナナ。ワクワクして、魔法旅行シートにのって出発しますが、ついたところは、別荘ではなく、魔法旅行支店でした。いったいどうしたのでしょうか?大好評の魔女商会シリーズの第二弾。 ■ あんびるやすこさんのは、新聞の広告で見て面白そうだなあと思ったもので児童書なんでありますが、もう読んでしまいました。 可愛い本。 著者紹介のところを見ると、あんみつ姫のキャラクターデザインをした方、とあって、懐かしい〜〜となってしまいました。 ちょっとツンデレの魔女シルクと猫のコットンが営む、洋服仕立て屋さんを舞台に、人間のナナとの交流や、森の仲間たちとの交流を描いた本、だと思います。 とにかく出てくる小物たちがかわゆいのです。 メルヘンというかキッチュというか。 どんな液体もビーズにしてしまうスプレーや、コサージュづくりや、これ多分子供の頃読んだらもっと楽しかったというか世界に入り込めただろうなあ、という一冊。 なんといっても絵柄が可愛いです。 ただ、児童小説なので、大きい字なのがちょっと物足りないというか、最近文庫ばかり読んでるので、ハードカバーが読み難かったです………。 あんびるやすこさんの話は、 この「なんでも魔女商会」シリーズの他に、「魔法の庭ものがたり」シリーズ、ルルとララシリーズもあるみたいなのですが、 すべてに共通しているのは、手作り、カントリー、ハーブ、魔法などなど。 ルルとララシリーズは、お菓子作りがメインぽいので面白そうでした。 殆ど貸し出し中だったので人気なのかな。 あんびるさんの公式HPも凄く可愛いです。 ■
10年02月01日(月)
若木未生・著 幻冬舎+晴れて無事に大学生となった朱音。テン・ブランクの活動が本格化し、全国ツアーが始まった。だが、鳴り続けるバンドの背後に、ひそかな亀裂の予感が…!?朱音の携帯に一本の電話が入る。櫻井ユキノの仕掛けた、最大の罠。メンバーそれぞれの想いがすれ違い、テン・ブランクは存亡の危機に。試練に立ち向かうため、朱音が下した決断とは―?再び新しい局面を迎えるTB。自分たちの力を信じて、前に進み続ける!!感動の完結巻。 ■ 大好きなグラスハートの最終巻を読んだ。 面白かった。 この作品はコバルト文庫で途中まで出てたのだけれど最後だけ、コバルトから移籍、という感じで出版されたものです。 で、この最終巻なのだけれど、途中ぐらいまでは、登場人物たちの自意識過剰っぷり&あー作者意識してるんだろうなあ…ていう文体、に、ちょっと鳥肌が立ったりもしてたんだけれども、最後はやはり泣きそうになってしまった。 若木さんの文章は、文章力自体はそれほど高いとは思えないのだけれども、音楽を文章で表現する力、みたいなのは、凄くあると思う。 熱気や若者たちの青臭い感情や、音楽に対してのどうにもならないもの、なんかを。 私は音楽なくても生きていけるぜ!って感じの人なので、ちょっと純粋に感動してしまった(本はなくなったら生きていけない) 読んでると、作品中のバンドのテンブランクが音を鳴らしている様子が伝わってくる、熱い作品です。 ドラムの朱音ちゃんとの三角関係も気になってたのだけれど、ちゃんと決着がついたみたいだし良かった良かった。 凄く気になってたからちゃんと完結して良かったなあ。 当たり前だけれど、やっぱり「物語を完結させる」というのは、読者に対しては本当に必要だと感じた。 ただ、コバルト文庫で既刊になっているグラスハートの他の巻も、幻冬舎コミックスから新たに販売、書き下ろし短編も収録、とのことで、 コバルト文庫を持ってるものからすると、ちょっとあざとくないかい…と思っちゃったんですけど(そして多分買わないかなあ…いや買うかも………やっぱりあざといよー) 若木さんは、少しムラがあるような気がする。 どのシリーズもそうなのだけれど、小説というのは文章ありき、だと思っているので、挿絵とかはあんまり私自体は気にしないんですね。 ただそういうのを凄く気にして自分で自分を縛ってしまっていそうな作家さんだなあと思います。 現にグラスハートも、3人イラストレーターが変わっちゃってるし。 うーん。でもこの勢いで、ハイスクールオーラバスターも完結させて欲しいです。 若者が読む物語だよな、と思いつつも、やっぱり読んでると面白いんだよー! ■
09年11月04日(水)
10月の読書メーター 読んだ本の数:5冊 読んだページ数:1634ページ ジョナサンキャロルの本は、一筋縄ではいかない感じ。さらさらっと読める類の話では絶対ないと思う。下手すれば終盤から面白くなる事もしばしば。でもそれが病みつきになって、次の本も…となるので不思議。日常を暮らしている人々を描くのは本当に上手いと思う。 読了日:10月01日 著者:ジョナサン キャロル 読んでる間は至福のひとときだった。こんなに読者をおいてけぼりにしていく作家もいないんじゃないか、ていうぐらい不親切な内容なんだけど、ぎっしり物語が詰まっていて飽きさせない。読書をする人にとっては、神様のような作品なんじゃないだろうか、てぐらい面白かった。 読了日:10月05日 著者:ジョナサン・キャロル パニックの手 (創元推理文庫)こ、怖かった。後味が悪いけど読むのをやめられない話ばかり。全編面白かった。???な感じで終わる作品も多く、何回も最後の部分を読み返したりしたのだけれどそういったもののほうが好きかも。なので一番すきなのは「細部の悲しさ」かな。 読了日:10月09日 著者:ジョナサン・キャロル 黒いカクテル (創元推理文庫)面白かったが、個人的には、「パニックの手」の方が好みだったかなあ。しかしキャロルの小説は何が起こるかハラハラドキドキするので、安心して読めない(そこがすきなんだけど)そしてハッピーエンドが少ないのも良い。 読了日:10月16日 著者:ジョナサン・キャロル 天使の牙から (創元推理文庫 F キ 1-11)哲学書のような本。最後まで読むと、陳腐なようだけれどどうやったら心穏やかに生きられるか、というようなことがわかると思う。浅羽さんの訳も凄く良かった。 読了日:10月29日 著者:ジョナサン・キャロル 読書メーター
09年10月29日(木)
出演: 市原隼人, 上野樹里, 蒼井優, 佐々木蔵之介, 相田翔子 監督: 熊澤尚人 +プロデュースを岩井俊二、脚本を桜井亜美が手掛けた熊澤尚人監督による「虹の女神」をDVD化。市原隼人×上野樹里の豪華競演で贈る“男女の恋と友情”を描いた、虹のように儚い愛の物語。大学生の岸田智也は、佐藤あおいの友人をストーカーまがいの行動で追いまわしていた。智也に声をかけられたあおいは、2人の恋のキューピッドを引き受けるものの、結果は失敗。その後あおいの映画サークルに引き込まれた智也は…。 ■ 不思議な映画。 特に他の映画と違った作りや目新しいストーリーには思えなかったのだけれど、何だかこう、胸にくる映画だった。 前半の上野樹里と市原隼人のリアルなやりとりや、大学の映画サークルで映画を撮るところ、なんかはとっても良かった。 樹里ちゃんがフィルムを光にかざして見ながら、紙に貼っていく場面とか、自主映画サークルで撮った映画を二人で見る場面とか、凄く良かったなあ。 懐かしくて儚い感じがとてもよく出ていたと思う。 ホルストの木星がBGMに使われてるのだけれど、それがとてもよく合ってた。 気持ちのすれ違いや、もう戻らないものに対しての後悔など、目に見えないものが切ない作品だった。 盲目の妹役の蒼井優の演技も爽やかで深みがあって良い。 なんといっても格好が可愛い。ベレー帽があんなに似合うのは反則である。 何だか淡々とした映画だし変な場面もたくさんあったのに、随所随所が微妙に心に残る映画だったので、もう一度見たい。 個人的に「恋人」の章は要らなかったかも、と思った。 ■ |