| 【記事】 数理論理学とは (2) |
湖畔日記 |
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[2006/07/21の続き] 数理論理学が生まれて百年ほどになる.幾何学に二千年を超える歴史があり微分積分学でさえ三百年の伝統があるのに比べて,数学の中では若い研究分野だ.
百年あまり前のこと,数学の理論の中に潜んでいた矛盾が見つかるという危機的な事件が起きた.集合という基本的な概念から矛盾が導き出される例がいくつか見つかり,中でもバートランド・ラッセル*1の見いだした「ラッセルの逆理」が有名である. 「数学の第三の危機」と言われるこの事態に直面して,数学の再建を目指す研究が始められた.なぜ矛盾が生じるのか,矛盾を防ぐにはどうしたらよいのか.数学における論証はどうあるべきか. 集合という概念が妥当に定義されてるのかどうか考えるだけでなく,証明とは何か,計算とは何かということを徹底的に考えて,信頼できる数学を築こうという研究である.そのような研究は伝統的に「数学基礎論」と呼ばれてきた. 数学基礎論というときの基礎とは例えば建物の土台を支える基礎 (foundation) なのだが,紛らわしいことに基礎という語には初歩,入門のような意味もあり,現に「基礎数学」と名付けられた授業科目なども見られる. 名称として「数学基礎論」よりも「数理論理学」の方がいま好まれるのは,基礎数学との混同を避けたい気持ちもあるが,それだけではない.現在では数学の基礎づけだけを目標としてるのではなくて,証明や計算の構造に関する研究にもっと積極的な意義を認めるからでもある. 辞典の項目や学会の分科会の名称などには,伝統的な「数学基礎論」が使われている.しかし数理論理学者の中には「『数学基礎論』はいまや死語だ」と主張する人さえいる. 数理論理学が数学の基礎づけの他に何を産み出してきたのか,それについてはまた次回に.[続く] *1. 数学者,哲学者.平和運動でも知られている. ※ メール下さりたい方は上欄の送信フォームをどうぞ.なお,掲示板 (BBS) は休止しております.
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