脳と振る舞い

記事 : 赤ちゃんは「母語」で泣いていた 
09年11月06日(金)


German study shows babies begin to pick up language in the womb
Times Online 11/6

以前に「音楽は実はそれぞれの国の母語の響きを持っている」、 という研究をご紹介した事が有りますが、ドイツの研究者達によると 「赤ちゃんは母語の抑揚で泣いている」そうです。

研究は、「生後3日〜5日」という段階だった時に、産科病棟でフランス語 を話す家庭の赤ちゃんとドイツ語話す家庭の赤ちゃんの泣き声を録音し、 それを分析する、という形で行われています。

研究者達は「生後すぐの段階でも、フランス語を話す家庭の赤ちゃんは フランス語の抑揚で泣き、ドイツ語を話す家庭の赤ちゃんはドイツ語の 抑揚で泣いている」、と主張しています。

生まれたばかりの状態で「母語の抑揚が備わっている」のは、 お母さんの子宮の中で、言葉を捉えているからだ、と研究者達は 指摘しています。

まあ、意見はいろいろなわけですが、以前にBBCの記事で「羊の子宮の内部で 音がどんな風に聞こえているのか」、という事が取り上げられた事があります。 マイクロフロンが拾い上げた音は、はっきり語彙がききわけられる状態の、 意味のある音でした。

胎児の段階で「聴覚」と「思考能力」が獲得され始めるわけですから、 新生児になる以前に、子宮内部の胎児が言葉のリズムや抑揚を獲得していても 不思議は無いのかもしれません … 本当かな?



新生児達が泣いている時、実は彼らは「母語」のイントネーションを 模倣しています。その事は、赤ん坊達が子宮で言語の最初の要素を得始める ことを示している、とある研究が示唆しています

科学者達は、既に赤ちゃんが達が生まれたその瞬間から「両親の声」などの様な 特定の音を認識する事が出来る、という事に気づいていました。ですが、 幼児達が「言語」を模倣できる様になるのは12週間程度の年齢に達してからだ、 と考えてきました。

ドイツで行われた新しい研究によって、実際には赤ちゃん達は、これまで 考えられていたよりもはるかに早い時期に言語の能力を発達させている、 という事が示唆されています。

「私達が行った研究は、seeding language development(種の時代の言語発達。 赤ちゃんとして生まれてくる以前の子宮の段階を「種の段階」に例えている)で、 赤ちゃん達が泣いているという事実の重要性を明らかにしています」、と 今回の研究を率いたUniversity of WurzburgのKathleen・Wermke教授は 語っています。


今日出版される「Current Biology」誌に発表されたその研究は、60人の 健康な赤ちゃん達の鳴き声を録音して、分析する、という手法で行われています。 赤ちゃん達は「ドイツ語を話す家族の中に生まれた30人」と「フランス語を話す 家族の中に生まれた30人」が選ばれています。

赤ちゃん達が「生後3日〜5日」という段階だった時に、産科病棟で泣き声が 録音されました。

泣き声の分析は、赤ちゃん達の「cry melodies:泣き声メロディー」 の形にはっきりとした違いが存在する事を明らかにしています。そしてその 泣き声は、赤ちゃん達の「母語」と一致しているように見えるのです。

「フランス語を話す家族の中に生まれた赤ちゃん」の場合には、 低いピッチから始まって高音で終わるという、rising melody contour (上り調子のメロディー)で泣く傾向が見られました。

ところが、「ドイツ語を話す家族の中に生まれた赤ちゃん」の場合には、 falling melodyは(下り調子のメロディー)が好まれていたのです。

average volume of crying(泣き声の平均的な音量)は同じ程度でしたが、 「フランス語を話す家族の中に生まれた赤ちゃん」の泣き声は、より静かに 出発し、クレッシェンドにまで高まりました。そして「ドイツ語を話す 家族の中に生まれた赤ちゃん」の泣き声は、それとは正反対だったのです。


研究者達によると、そういうパターンの違いは、フランス語とドイツ語という 2つの言語の特徴のある違いと一致しているそうです。

「例えばドイツ語で語『Papa:パパ』と発音する場合には、最初の音節が 強調されます。ところがフランス語で同じ言葉を発音する場合には、それは 正反対になるのです」、とドイツのライプツィヒにMax Planck Institute for Human Cognitive and Brain Sciencesに所属するAngela・Friederici 教授は説明しています。

同様のパターンは、より長いフレーズで典型的にみられる、 と彼女は語っています。

University College Londonのhearing and phonetics scientist (聴力と音声学の研究者)のVolker・Dellwoは、melody contou(メロディーの 輪郭)というものは言語というものの最も基本的な特徴の1つなので、 赤ちゃん達はそれを模倣しているのかもしれないと想像する、と語っています。


しかし、他の研究者達の中には今回の研究結果に納得していない人達もいます。 「生物学者達や医学関係者達は、言語というものを理解していないので、 常に的外れな事を言っています」、とUniversity College Londonの 言語学の専門家のJohn・Wells教授は語っています。

「ドイツ語でもフランス語でも語彙が音として話される時にはrises and falls (上り調子と下り調子)が用いられます。英語でそうである様に。構文と語順を 比較するのは簡単ですが、今回の研究はあまりに漠然としている様に思えます」

以前に行われた音声の模倣に燗する複数の研究では、新生児達が大人達が 話しかけるvowel sounds(母音)に合わせる事が出来るという事が明らかに されています。でもそれは「生後12週以降」でだけ可能だったのです。

模倣という技術は、より洗練された音声コントロールに依存するもので、 生後まもない段階では、身体的な条件によって難しいものなのです。

「メロディーの輪郭の模倣というのは、新生児達が出生の直後に行う事が 可能なものです」、とWermke教授は語っています。彼女は、おそらく 進化というもの動機付けによって、新生児達は母親のふるまいを模倣する事で 母親とのbonding(絆)を強くする事を非常に切実に必要としたのだろう、 と語っています。


「言葉」というものは、子宮を通過して内部の胎児に届く数少ない 人間による刺激のうちの1つでもあります。子宮の内部では、胎児達は 光、嗅覚、触覚といった感覚からは遮断されているのです。

「子宮の内部で、あたかも誰かが隣で話しているかのように音声が聞こえます。 ですから、リズムとメロディーの輪郭は認識できる要素なのです」、と Dellwo博士は付け加えました。

Wermke教授は、今回の研究は子宮にいる胎児が音楽や親の声によって なだめうる、という意見を支持するものだ、と語っています。

「私達の今回の研究は、胎児の段階で脳が言語と音楽の基本的な要素を 処理する為の成熟をはじめているという事を明らかにしたわけですが、 言葉は多分胎児達の為の刺激として働いているでしょう」

「でも、お腹の赤ちゃんの為にモーツァルトのCDをかけるには忙がしすぎる なら、赤ちゃんに悪い影響が生じる、とはちょっと言いかねますね」、と 彼女は語っています。

言語の獲得」、 「胎児の言語能力

「新型インフルエンザ」は、非常に事態の展開が早いです。
まず記事の日付を確かめ、必ず表紙で最新情報を見てくださいね。









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