Mexico flu 'a potential pandemic'
BBC News 4/25
専門家会議終了 危険度の変更などの緊急発表はありません
WHOは専門家会議の助言を受けて、「最近の状況は公衆衛生上の世界的危機」
だと表明し、「全加盟国にインフルエンザに似た症例の緊急調査を実施」
する様に要請しました。
言葉を換えると、「現時点では、危険度を判定するための情報が足りて
いませんので、それぞれの国での状況を早急に把握して報告してください」
という事になります。
まず、言葉の確認を
「豚インフルエンザ・ウイルス」と「ヒト・インフルエンザ・ウイルス」
- 違いは「人間から人間に感染する能力」です。その能力を獲得した
(なんらかの動物が罹患する)インフルエンザ・ウイルスの変異型は、
「ヒト・インフルエンザ・ウイルス」である、と理解されます。
つまり、メキシコで「豚インフルエンザ」として警戒網にキャッチされた
「変異した豚のウイルス」が、人間から人間へと幅広く感染を広げてゆく
場合、それは人間に感染する能力を獲得した新型「ヒト・インフルエンザ・
ウイルス」と認識されるのだそうです。
ウイルスは、現在季節性インフルエンザとして人間の世界で毎年の様に
大規模感染を引き起こしている「ソ連風邪ウイルス」と同じ「A/H1N1」
というタイプのものですが、「豚と鳥とヒトの遺伝子が混合されている」
事がCDCによって確認されていますので、実質は別の物だそうです。
人間用に現在使われている「ワクチン」はおそらく無効だ、という事が
説明されています。
「pandemic(パンデミック)」
- 国境を越えて、特定の疾患が大規模流行を引き起こす状況
特定の疾患は「インフルエンザ・ウイルス」が引き起こす疾患を意味
しているわけではありません。例えば「SARS(新たなコロナ・ウイルス
による重症急性呼吸器症候群)」が世界中で流行した場合にも
「パンデミック(が発生した。状態に有る)」と言われる事に
なります。
「インフルエンザ・ウイルス」でそれが起きた場合には、その状況が
「パンデミック(・フル)」と呼ばれます。(世界的な規模で感染を
生じさせるインフルエンザ・ウイルスが出現し、インフルエンザ疾患が
世界規模で流行する状況が発生した)
メキシコが源である、と考えられる「豚インフルエンザ・ウイルス」が
変異した「A/H1N1」型インフルエンザ・ウイルスによる今回の流行は、
既に国境を越えて米国に拡大していますが、その状況をどんな名称で
呼ぶかという決定は、WHOの専門家会議にゆだねられます。
02:00 専門家会議終了 緊急発表はありません
新たに感染が確認された疾患に「緊急措置」が必要かどうかは、
病原性の高さ(致死性の高さ)や感染性の程度などを精査して決定
されます。「不正確な情報によるパニック」は、時に疾患そのもの
よりも高い危険性をもたらす事があります。そのため「社会に生じる
動揺」なども勘案される事になります。
例えば「SARS」は中国で感染が広がりましたが、他国にそれが広がる前
に押さえ込む事に成功しました。当時「正体不明の疾患が流行している
領域(中国)への渡航抑制」が生じて、渡航者が激減した(観光産業が
打撃を被った)事を思い出してください。
実際にそれは、「パンデミック」を引き起こす可能性が有った新しい
感染症だったのですが、地域的な封じ込めに成功した為に「パンデミック」
は起きなかったのです。
つまり、現状はとりあえず「まず正確な情報収集」をはかる、という段階
だと判定された事になります。(米国で同じウイルス感染が死者を出して
いない、という状況がその判断を後押ししているかもしれません)
参考情報:
4/25の時点でのメキシコでの豚インフルエンザへの対応状況について
この記事の続報になるBBC記事
メキシコでの死者数が81名に増加した
こういう時には、「報道されている専門的な情報が理解できない」という
不安につけ込んで、自分の利益になる方向への誘導を試みる人間も出て
きますので、気をつけてください。
例えば、医者による処方が必要な薬物は「それぞれの投与に関して経過の
把握を必要とする、強い薬理効果を持つ」為に、「専門的な診断に基づく
処方」が義務づけられています。「高額な費用で海外から処方薬を個人
輸入(代行)」する、などという誘いに乗ってはいけません。危険です。
メキシコで60人以上の人達を殺したのでは無いか、と疑われている新しい
型のインフルエンザ・ウイルスは、「pandemic(パンデミック。病気が世界的
な規模で流行する状況)」を引き起こす可能性を持っている、とWorld
Health Organization:WHO(世界保健機構)のチーフが語っています
WHOのチーフであるMargaret・Chanは、今回の疾患のoutbreak(勃発)は
「serious situation:深刻な状況」で、注意深く監視する必要がある、と
語っています。
Chanは、米国訪問を短時間で切り上げ、緊急会談のためにジュネーブに
戻りました。
健康専門家達によると、これまでに行われた複数のテストで、米国南部で
8人に疾患を引き起こした「a new swine flu virus:新しい豚インフルエンザ・
ウイルス」は、メキシコでの疾患と関連している様に思われるそうです。
Centers for Disease Control and Prevention:CDC
Human Swine Influenza Investigation
CDC is working very closely with state and local officials
in California, Texas, as well as with health officials in Mexico,
Canada and the World Health Organization.
CDCについては誤解される事がありますが、この組織の基本任務は
「健康問題」では無く「米国の安全保障」です。「危険な疾患の流行
によって、米国という国家にダメージが生じる」事を防ぐ(国家防衛)
という任務を担っています。
WHOの「new emergency committee:新たな脅威に対処する為の緊急委員会」
が、現在会合を行っている所です。WHOの防疫官は、メキシコへの旅行に
対してアドバイスを行うという事が早期に発表されるかもしれない、と
語っています。
委員会では、「public health emergency(公衆衛生非常事態)」を宣言
すべきかどうか、また「global pandemic alert level(世界規模での
パンデミック警戒レベル)」を引き上げるべきかどうか、といった事が
議論される事になっています。
WHOは、「今回の変異したインフルエンザ・ウイルスの危険性の程度について
は、まだ完全に把握されてはいない」、とコメントしています。
WHOでは、すべての加盟国に対して国民の間に「seasonally unusual flu
(季節はずれのインフルエンザ感染)」や「pneumonia-like symptoms
(肺炎のような徴候)」が、特に健康な若い年齢層で広がっていないか
どうかを注意深く監視する様に、と助言しています。
メキシコでは、健康な若い年齢道が最も大きな影響を受けている、と考え
られるからです。
WHOは、現在までの所、死亡した人達の大部分は通常のインフルエンザ
の流行時により多くの死者が出る「子ども」や「高齢者」といった集団
では無く、青年層(ヤングアダルト)集団に属している、と語っています。
予防措置
学校、博物館、図書館といった公共施設が、主要な地域の全域で閉鎖され
ています。また国民に対しては、握手をする、食器を共有する、といった
事を避けるように、という事が呼びかけられています。
public events(公開イベント)は全て中止されたと、政府当局者は
語っています。チケットが完売していた2つのサッカーの試合は、
ウイルス感染を広げる危険性を避けるために、観客がいない空の
スタジアムで行われました。
米国では、White House(ホワイト・ハウス)から、注意深く状況を
見守っている、というコメントが出されています。
Centers for Disease Control and Prevention:CDC(米国疾病管理予防
センター)の対策実行部門の責任者であるRichard・Besser博士は、
メキシコの患者達から採取された14のサンプルに対して行われた予備試験
で、そのうちの7つが米国で発見されたウイルスと合致している事が確認
された、と語っています。
米国では8人が病気を罹患しています。カリフォルニア州で6人、
テキサス州で2人です。疾患を引き起こしたウイルスが、swine flu
(豚インフルエンザ)の新しいウイルスと同一である事が、WHOに
よって発表されています。ウイルスは「H1N1」型と呼ばれるものです。
米国で感染した8人は、全員が回復しています。入院措置が必要だったのは
そのうちの1名だけでした。(訳補:慢性疾患を持っていた為です)
CDCは、メキシコ国内で1000人以上を感染させたウイルスについての
調査を支援する為に、専門家達をメキシコに派遣する予定だ、と語って
います。
WHOのチーフであるChanは、今回の感染を引き起こしたインフルエンザ・
ウイルスが、「animal strain(動物に病気を引き起こすインフルエンザ・
ウイルス株)」だという事を確認しています。それは、「豚」、「ヒト」、
「鳥」の複数のインフルエンザ・ウイルスが混合された遺伝子を持って
いました。
豚インフルエンザ・ウイルスというものは、豚に感染して呼吸器疾患を
引き起こすウイルスです。それは通常の場合には人間には感染しません。
ですがこれまでも、散発的な発生は豚と身近に接触している人々に生じて
いました。
補足
一部に「現在用意されているプレ・パンデミック・ワクチン」は
無意味だった、という声が有る様ですので、説明をおいておきます。
「新型インフルエンザ」として、パンデミックを引き起こす事が非常に
強く懸念されている「H5N1」型鳥インフルエンザ・ウイルスでは、まだ
「人間から人間に感染を広げている」という状況は確認されていません。
ただし … それは既に「鳥類での広範囲の拡大(鳥の世界でのパンデ
ミック)を引き起こし、「世界の多数の国で感染した鳥と密接な接触が
存在していた人達に、多数の死者を出している」のです。
世界中の政府が「人間感染型」への変異を恐れ、タミフルなどの薬物を
備蓄し、ワクチンを製造しているのは、その鳥インフルエンザ・ウイルス
に人間から人間へと感染を引き起こす変異が生じれば、最悪の場合現状の
「致死率6割」という致命的な病原性と、感染力の高さを併せ持つ人間の
疾患を引き起こすウイルスが誕生し、世界中を暴れ回りかねないかねない
からなのです。
「最悪の被害を引き起こしそうな悪性の疾患に備える」のは、正しい
対応です。それは「無駄な備え」ではありません。それが起こらなかった
ならば「良かった…」と胸をなで下ろす、という話でしかないのですから。
ところで、「致死性の高いH5N1型」が変異して新型インフルエンザ・
ウイルスが登場し、世界的に流行する危険性は無くなった、という話は
実は一つも出ていません。それは現在進行形で厳重な監視が続けられて
いる「危険な疾患」であり続けています。
勘違いが生じやすい部分ですけれどね。
「エジプトで死者が増えた」事をわざわざ「豚インフルエンザ」記事に
追加しているのは、そういう意味合いです。「H5N1」の監視が不要に
なったわけでは、無いという事にも留意しておいてください
参考資料:「worldwide pandemic alert」(WHO)
- 人間に感染する可能性を持つウイルスが、動物で検出される
人間での感染は確認されていない
- 動物から人間に感染する危険性が高いウイルスが、動物で検出される
人間では、そのウイルスは検出されていない
- 人間で新型ウイルスの感染が確認されている
人間から人間への感染はきわめて限定的に生じている
- 人間から人間への新型ウイルスの感染が確認されている
人間に生じた感染集団の規模は小さい
- 人間から人間への新型ウイルスの感染が確認されている
人間に生じた感染集団の規模は大きく、大規模流行の可能性が高い
- 新型ウイルスの感染が大規模に生じる
一般社会での急速な感染拡大が見られる
この6番目の段階「
新型ウイルスの感染が大規模に生じる。一般社会
での急速な感染拡大が見られる」段階が、「パンデミック」です。
「
豚インフルエンザ」、「
新型インフルエンザ」
「新型インフルエンザ」は、非常に事態の展開が早いです。
まず記事の日付を確かめ、必ず表紙で最新情報を見てくださいね。