アルツハイマー病

記事 : 認知症患者達への「鎮静剤」の投与に警告が出された 
09年01月11日(日)


Dementia drug death risk warning
BBC News 1/9

ケアハウスに居住し、長期間「anti-psychotic drugs:抗精神病薬」を投与 されている認知症の患者達の余命がより短くなっている、という事が 「Lancet Neurology」誌で報告されました。

抗精神病薬は、英国のケアハウスでは「攻撃的である、もしくは強い興奮性 が見られる」と診断された認知症患者達に対して処方が認められている薬物 なのですが、それが過剰に投与される状態が常態化していて、非常に衝撃的 な結果を生じさせている、と指摘されています。

研究中に継続して状態が把握されていた認知症患者達のうち、偽薬を投与 されていた認知症患者達の2/3が3年後に生存していたのに対して、抗精神病薬 が投与されていた患者達ではその数字が1/3になっていたそうです。

認知症を発症する人達の多くが高齢者で、そもそも死亡率が高いという事を 考慮しても、その差は非常に大きいため、薬物の投与がなんらかのマイナス 要因になっている、という事が明白に指し示されています。

なんらかの … 実は現時点では理由は定かでは無いのです。ですが記事中 では、「鎮静剤」として抗精神病薬を投与されている認知症の患者達の活動 が慢性的に低下した結果、胸部感染症や肺炎の危険性が高くなった可能性が 指摘されています。

既にFood and Drug Administration:FDAが「認知症の患者達については 生命の危険性を含む副作用があり得る」という警告表示を義務づけているのだ そうですが、日本ではどうなのでしょう?



専門家達は、認知症の患者達に対する鎮静剤の処方がごくありふれた 状態になっている現状を非難しています

「Lancet Neurology」誌に発表された、3年を費やした研究によって、 長期に渡って「anti-psychotic drugs:抗精神病薬」を投与されている 認知症の人々で早死にの危険性が倍増している、という事が明らかにされ ています。

認知症を発症し、英国のcare home:ケア・ホームで暮らしている10万人 異常の人々が、攻撃的であるもしくは強い興奮性が見られる、といった 理由で抗精神病薬を「routinely prescribed:通常与えられる薬物として 処方」されています。

大臣達は、認知症の治療での薬物の使用について、現在再検討されている 所だ、と語っています。

現在のガイドラインでは、抗精神病薬は強い興奮状態が見られる、もしくは 暴力性が高い行動が見られる患者達に、短期間与えられることができる薬物 だとされています。

しかし研究によって明らかにされた数字は、抗精神病薬が過剰に用いられ、 平均して1年〜2年という長期にわたって投与されているという事を示唆し ています。

警告は既に出されている

認知症患者達に対する抗精神病薬の処方の危険性について、今回の研究に よって初めて報告された、というわけではありません。

米国では同様の研究が2005年に公表され、Food and Drug Administration (米国食品医薬品局)によって、認知症の患者達に対する注意書きとして、 ラベルに最も強い警告である「black box(ブラックボックス)」警告を 表示する事が勧告されています。
補足情報:"black box" warning
ブラックボックス警告というのは、処方箋を必要とする医薬品によって 生じる可能性がある危険性について、薬物のラベルに記載されている 「警告文」の一種で、最も強い警告になります。

それは、その薬物の使用によって、医学的に深刻な副作用(生命に関わる 事もある)が引き起こされる危険性がある、という事を警告するもので、 警告の文面が黒い枠によって囲まれているので「black box」と呼ばれて います。
今回の研究は、Oxfordshire、Tyneside、London、Edinburghという地区の ケアハウスに居住している165人のアルツハイマー病患者達を対象にして 行われたもので、最初の委員会に対する報告は2007年に行われています。

研究が開始された時点で抗精神病薬を既に服用していた患者達に対して、 その後の1年の間そのまま抗精神病薬の投与を続ける、もしくはdummy pill: 偽薬を投与するという事が行われました。

研究中に抗精神病薬の投与が続けられた認知症患者達に、顕著な死亡の 危険性の増加が見られました。

研究が開始された2年後に、偽薬を投与されていた認知症患者達の71%が 生存していたのに対して、抗精神病薬の投与が継続されていた患者達の 生存率は46%だったのです。

3年後には、偽薬を投与されていた認知症患者達の2/3が生存していたのに 対して、抗精神病薬の投与が継続されていた患者達ではその数字は1/3と いうものになっていました。

研究者達は、認知症患者達に生じる攻撃的な期間の大部分は、自己コント ロールによってやりすごす事ができるものなのだ、と語っています。ケア ハウスのスタッフ達により良い教育を与える事によって、薬物の投与の 必要性は無くなる、と研究者達は語っています。

今回の研究を率いた、Alzheimer's Society(アルツハイマー病学会)の 研究の責任者で、King's College London(キングズ・カレッジ・ロンドン) の教授であるClive・Ballardは、抗精神病薬は非常に強い攻撃性が見られる 一部の患者達に短期間投与されるという場合には適切なのだ、と語ってい ます。

「ですが我々の研究は、その薬物の使用に関して重大な懸念が存在している 事を明らかにしているのです。不必要で長期にわたっている処方を、早急に 終わらせる必要があります」

研究の共著者であるUniversity of Oxford(オックスフォード大学)の 老年精神医学の専門家のRobin・Jacoby教授は、「かなりの数の患者達が、 まったく正当な理由がないままに薬物を投与されている」、と語っています。

「それは、教育の問題なのです」

彼は抗精神病薬の服用によって、認知症患者達の死亡リスクがなぜ増加する のか、という事については現状では理由は明らかになってはいない、と説明 しています。ですが、あり得る説明の一つは、抗精神病薬を服用している 認知症患者達がより不活発な状態になり、結果的に胸部感染症や肺炎と いった様な疾患の危険にさらされるのかもしれない、という事だそうです。

Alzheimer's Research Trust(アルツハイマー病研究財団)の最高責任者 であるRebecca・Woodは、今回の結果は「モーニング・コール:状況に 対する警報」だ、と語っています。

「私達は、抗精神病薬が処方されない場合により良い状態で過ごす事が できる患者達に対する、潜在的に危険な『chemical cosh:化学棍棒 (薬物の投与によって行動を押さえ込む事を、混紡で殴りつける事に よって相手を支配する事に見立てている)』であると見なして、これら の薬の使用を避けなければなりません」

再検討

政府は、現在抗精神病薬についての再検討が行われているところで、その 問題については、待望久しいNational Dementia Strategy for England: 認知症に対する国家計画の一部として、間もなく発表される予定であると コメントしています。

Care services minister:ケア・サービス大臣のPhil・Hopeは、薬物の 不適当な投与というものは「まったく受け入れがたいものだ」、と語って います。

「医療専門職員とケアスタッフに示されているガイダンスは、非常に はっきりしたものです。抗精神病薬という薬物はそれが臨床でのケアの 一部として適切な場合に限って、使われるものであるべきなのです」

「しかし、抗精神病薬が過剰に使われていることを示唆する強い証拠が、 疑う余地なく存在しています」

Imperial College Healthcare NHS Trustの顧問神経科医であるRichard・ Perry医師は、「今回の研究は、認知症患者達に現れる行動面での徴候に 関して、alternative pharmacological:現状の薬理学的治療を置き換える 治療法や、non-pharmacological treatments:薬理学的治療によらない 療法について緊急に評価する事が必要とされている、という事を強調して いるのです」、と語っています。

「National Institute of Health and Clinical Excellence:NICE(英国・ 国立医療技術評価機構) の認知症に関するガイドラインを策定した Tim・Kendall博士は、ガイドラインでは「控えめに」薬物を使用する事が アドバイスされている、と指摘しています。

「医者達が、この様な目に余る逸脱の証拠を無視するならば、選挙権を剥奪 され、非常に強い依存状態に置かれている人々にとって、それが本当に深刻 な問題であると考えられなければなりません」


猫足
有用な仕事を行いたいと意図するなら、「計画 -> 実行 -> 検証 ->修正」 というプロセスが守られる様にする事が大事です。検証を行う人達を計画に 利害を持たない外部の人達にする、などといった様な事をあらかじめ決め、 不具合を修正する際に一部の人間の利益・既得権益を守る事が優先されたり しないように、安全措置を組み込む事が求められます。この事例の様に。

まれにですが、「計画・法律の趣旨と異なる行動」が合法的に可能だと主張し、 社会倫理に反する逸脱を行う手法を指南する人間なども出てきますので、 (法律の規制を免れる為の手法が解説された文書が、警察に押収されたりします) 法律の制定などに際しては必要な場合に迅速な変更が可能である事も 必要かもしれません … 法律より以前に「社会倫理」が有るわけなのですが。


社会というのは「小さな船室が集まって海に浮いている船」のようなものです。 船全体を「所有」する人間は存在し得ませんが、船の面倒を見る人達が常に 必要とされます。

船を海に浮かべておく為に、逃げ場の無い閉鎖空間をより安定した状態に保つ 為に、船全体を見渡す人は「多数決によって支持される状態」を獲得しなけれ ばなりません … 長期的に多数の人間をだます事は不可能なのですよ。

「巨大な資産を持つ」事は、「富を独り占めする強欲さ」を意味するものでも ある為、実は多数決主義が支配する世界では必ずしも安全や永続性を保証する わけでは無いのです。それは「自分の利益の為に偏った決定を行う」事に ついても同じです。周囲の全員が敵である場合、生き延びる事はできません。

どれだけ立派な船室を所有していても、自分たちだけの理屈によって無力な 女子供を殺すなら、その他の全員の意志によって、その人間は海に放り出さ れる事になるのです。それが国家であっても、行く末は同じでしょう …  傲慢さの報いとして未来が無くなるというのはむごい話です。



「新型インフルエンザ」は、非常に事態の展開が早いです。
まず記事の日付を確かめ、必ず表紙で最新情報を見てくださいね。









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