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記事 : 資料:日本の耕地面積と食料自給率 
08年09月04日(木)


記事は5月22日のものです。その後に加筆されています。
アクセスが増加しているので表に出しています


先にお断りします。この数字は農林水産省が出している数字です

日本の食料自給率は2006年の時点で39%
非常に低い理由の一つは「畜産物を国内生産する為に飼料を輸入している」 からで、それに加えて「油脂の為の原料を輸入している」事で穀物の自給率が 非常に低くなってしまっているのです。「いも類」と「野菜類」は、現時点 でも8割が国産品です。

「自給率を上げる為に地元の作物・国産品を食べましょう」という事を叫ぶ 人達は、もちろんそういった事実を知っています。そして例えそれらが全量 国産品になったとしても、実際には「日本の食糧自給率は、ほんのわずかしか 改善されない」のです。まあ、意図的に「数字を読めない人間を騙している」 事になります。

「地域の生産物を地域で食べましょう」は正しいですが(輸送その他の部分で 多大な利益が生じますし、地域でお金がまわる様になります)、日本の自給率 に関してそれを論じるのは、ほぼ無意味です。


日本の食糧自給率が低くなってしまった根本には、日本で畜産製品を作り出す為 には、「生産物を遙かに上回る量を必用とする飼料穀物の輸入を行うしか無い」、 という事があるのです。

穀物の国内自給率は、日本の場合わずか27%なのですが、それが日本の食料自給 率をカロリーベースで計算した場合に39%という低いものにしています。

食糧自給率が100%を越えるフランスの農村
穀類のうちでも、もちろん世界一高価な普通の主食である「日本のお米」は、 自給されています。実態は「生産量が国内消費量を上回り、耕作可能な田圃 の全てで生産を行うと、1/3という量が過剰米になってしまう」為に、転作・ 休耕という形式で稲作を行わない田圃を作っている、という様な妙な話にな っているわけですが。ちなみに稲作を行っていない田圃の面積は、国内の田圃 の面積の4割だそうです。異様ですよね。



これは一人あたりのお米の消費量が激減した結果です。「40年前と同じ量 の米を食べる」なら、もしくは「穀物として小麦では無く米を食べる」なら、 現状は実は、休耕田の全部を使用して必用とされる米の量がどうにか確保 できるかどうか … という段階まで田圃が減少しています。国内で主食の 一部を担っている「麦」の分を越えて「米」が余っているわけでは無い、の です。

でも「パンでは無く、お米を食べましょう!」 そんな事を叫んでも無駄 です。「米の価格を国際的にみても非常に高額なものに政策的に設定した」 結果、それはあまりに高価になり、「学校給食はパン」になりました。

当初は「米国の余剰農産物を援助として押し込んだ」、という姿で始まった 学校給食というものでは、「ご飯」は補助金を付けないと出せないのです。 10kgの国産の米よりも輸入物の10Kgの乾燥パスタや10kgの薄力粉の方が 安価な事は知られています。

パンを食べて育った子ども達が、常温で保存可能で手軽に食べられる「パン」 を選択するのは当然の話です。また、食生活改善という事で「米ばかり食べず に、副食物として肉や魚や油脂をバランス良く食べましょう」、という事を 推し進めた実績もあります。何をどうすれば良いのでしょう?


度々報道され良く知られる様になった「小麦」は、9割近くが輸入品です。

理由は、日本が東南アジア型のモンスーン気候帯に属しているからです。 それは「米作」には適するのですが、麦には向いているとは言い難いも のなのです。単位面積あたりの収穫量は伸びません。また日本の国内で 収穫される小麦の品質は、適地で栽培されている輸入小麦に劣ります。 (国内麦の入札価格が輸入麦より低い事がそれを証明しています)


油脂原料や飼料としても使われる「豆類」の自給率は、わずか7%でしかあり ません。この数字には注意が必要で、実際には現状でも、「豆腐や納豆」など 直接人間が食べるための加工品に使われている部分は、国内生産分でほぼかま なえる可能性が有る、とも言われています。そうだと良いのですが。


輸入された飼料から生み出される肉類は「自給されている」わけでは ありません。その為、「牛肉」の国内自給率は11%、「豚肉」では5%、 「卵」が10%、「牛乳・乳製品」は放牧部分が有るので幾らか数字が 高く28% … 非常に悲惨な数字が出てきます。

「食糧自給率が100%を越えるフランスの農村」という写真に垣間見える様に、 牛は草食動物ですので、本来は「放牧」し、「牧草」という人間には消化 不可能な「セルロース」を食べてもらって、乳製品や肉製品を得るという 事が可能な生き物です。

そして、『牧草地への放牧・排泄物の土地への供給、耕作地としての利用、 休耕地にして牧草を生育させる』、という輪作サイクルは、牧草地として土地 が使える場所でこそ有効に使える手法なのです。でも日本には広大な牧草地は 存在しません。


現在の日本の農地面積は467万ヘクタール
遊休農地(耕作が成されていない農地)が39万ヘクタール

ちなみにもともと農地が少なかった日本は「農地を他の用途に使用する」 事で、膨大な面積を失いました。農地が用途地域の変更という事で「工業用地」 や「住宅用地」という農業生産以外の用途の為に売り払われてしまったのです。 「車が走り回る為の道路」が使っている面積も少なくはありません。もちろん 農地を売った農家の手元には現金が入っていますが。

その様な形で戦後に失われた農地面積は、「200万ヘクタール」という膨大な ものになるという事が指摘されていました。


国民1人あたりの耕地面積(牧草地が含まれます):農地面積
  • 日本 (3.7a:3.7a)
  • 英国 (28.4a:10a)
  • フランス (49.6a:33a)
  • 米国 (143.4a:61a)
  • オーストラリア(2281a:284a)
数字を見れば判りますが、私達の国には「畜産物を自給できるだけの牧草地」 など一切無いのです。同様に「お牛様に食べさせる飼料作物を育てる農地」も 有りません。私達の国は、農地のほぼ全体を作物の生産に使っています。肉類 を食べる事を選択するなら、他の食物を国産にしても自給率はたいして上がら ないのです。

狭い農地には「大量の化学肥料」も投入されます。農業機械を動かすには「油」 が必用です。その両方が輸入品です。


念のため付け加えます。
総農地面積を農家の数で割った「農家1戸当りの経営面積」というものは、 日本は「(470万ha)1.6ha」、同じ島国の英国は「(1700万ha)67.7ha」 です。英国の人口は、6000万人ほどで日本のほぼ半分でしかありませんが、 総農地面積は日本の3倍を超えます。それでも自給率は80%ほどなのです。

中国やインドよりも一人当たりの農地が狭い日本の食糧自給率を向上させるの は、とても難しい事なのです。

農地面積が増やせない場合、作物の収穫量を増加させるために「単位面積当た りの収穫量を増加させる」という事が試みられます。実際には既に「緑の革命」 という品種改良と多肥というものを原動力とした食糧増産が行われています。

さらに収穫量を倍増させる … 実は、それを可能にするかもしれない技術は 有るのです。でも、「遺伝子操作された作物には反対します!!」という消費 者団体はどうしましょう? だから結局、事実を理解できるように順番に説明 してゆくしかないのだと思います。近道は無いのです。

日本の農家が高齢化している話は … 以前にも言いましたが、日本の経営 面積では、もともと食べてゆくのは厳しいのです。お米の価格で計算してみせ ましたが、大人二人が「1.6ha」で食べてゆくのは無理なのです。ですから 「広い耕作面積」を求めて農業移民(実態は棄民)が行われたりもしました。 農家の戸数を維持する事は正しくなどありません。

現状は「高い賃金を獲得できる産業を育成し、その産業で働くだけの能力を 備えた子ども達を育て、より多くの人達をその産業に移動させ、農地を集約 する」という事に失敗した為に、狭い土地にしがみつく事を余儀なくされて いる人達がいる、という可能性を示唆するものです。前回の記事で示した「フ ランス各地の産業育成の成否と農地集約の動向」は、まさにその話なのです。

また、日本の農地に「中山間地」という耕作条件が悪い場所の農地も含めら れている事と、利用価値が高かった「平地に存在した農地」が既に「農地の 転換政策」や「地方農業委員会による無秩序な開発許可」によって売り払わ れて減少してしまっている事も、より条件を厳しいものにしています。

これも以前に話に出しましたが、「水は斜面には張れない」のです。千枚田の 存在を考えると理解できるでしょうか? また、水田には「計画的な水の利用」 もかかせません。耕作のために必要とされる水をためておく水源池と耕作地まで の水路の維持管理も必要なのです。水田の規模拡大は、麦や牧畜のための耕地と 同じ手法では進められません。

「農家」と一括りにして、「都市近郊の賃貸住宅提供者」と「限界集落 の農業者」を同じ「高額な農産物価格」で守る事は無意味でもあります。


参考までに、漁業資源の場合には1970年代までは自給率は100%を越えて いました。現状は5割程度です。ちなみに昔は国内生産量の4割がイワシ という魚だったのですが、1990年以降はその漁獲高が激減しています。 浮魚の魚種交替が生じたからだと言われていますが、それに置きかわる だけの漁獲高を提供する魚は現れていません。

だから、「鯖の幼魚を漁獲して中国に売り払う」事例を、漁業の成功例である かのように扱うな!!と主張しています。鯖の資源も壊滅状態なのですから。 藻場の多くは、埋め立てられてしまいました。魚はどこから来るのだろう?


輸入の場合には「為替」というものも関係してきます。1985年のプラザ 合意というものによって、日本は急激に「強い円」によって「安価な輸入」 を可能にしました(その反対側が、急激な円高による輸出への打撃です)。 そして … 近年はその向きが逆転しています。

米国のドルとの関係だけを見ているとわかりにくいのですが、「同じ円」 で購入できるものが、どんどん少なくなっているのが今の日本の姿です。

オーストラリアドルについてだと、ここ数年で「日本円の価値は2/3になりま した」 同じお金で2/3の小麦や牛肉しか購入出来なくなった所に、価格の高騰 が重なったのですから、悲惨な話になっているのは当たり前なのです。


いい加減に「自分に都合の良い様に数字をねじ曲げる」のは、止めましょう。

例えば最近、「スイスでは60円の国産卵と20円の輸入卵を比較して、食糧自給 率を維持するのが大切だから高価でも自国の卵を購入する、と子どもが語って いる」、という間違った紹介記事がありました。

スイスは山岳国家で耕地面積が少ない為、膨大な量の穀物を輸入する国です。 そして斜面の牧草を食べる牛ならともかく、鶏は穀物を食べる生き物です。 その鶏の卵は、おそらく「自給」されてはいません。

そしてそのエピソードは、「輸入された卵では、自国の富(通貨)が交易品の 卵の代金として外国に吸い取られてしまう」、という「通貨の地域内循環」に ついての話で、本来は自給率の問題についてのものではありません。

スイスの子どもは「自給」の概念を間違えていても無理は無いですが(子ども ですから)、記事でそれをあいまいにするのは好ましいとは言えません。

また、スイスで「公的に補助が行われる貧困層」が年収400万円弱という水準に なる、という事は既に「相対的な貧困」という概念を説明するために記事にして います。(社会保障の仕組みが異なる事も、そのような部分に影響しています)  スイスで高額の食糧支出を支えているのは、実際には高額な所得なのです。

そういう意味で、「所得の増加を図ることが難しい高齢層」が増加している事 も問題なのです。「日本人は、高額な日本の食糧を購入すべきである」という 主張をする人間は、高齢者などが暮らしている公的施設の給食費などに、既に 食品の値上がりによって破滅的な影響が出てしまっている、という事を一度し っかり見るべきです。それは普遍的なものとして低所得の高齢者の生活を破壊 しつつあるのです。

人間が生きるためには、所得に無関係に「一定のカロリー」が必要です。 高額な食糧が暴動を引き起こす状況を、「米騒動」を、日本で再現したい ですか?


自給率の高い野菜で「日本の国民が国産品を選択していない」かのように説明 する「誘導記事」ではなく、きちんと実状を説明して何を守るか、手法 を含めて選択してもらう事が緊急に必要です。

「基礎食料品を生産する基幹農家に、欧州と同様に直接所得保障を行い、基礎 食料品の価格は国際価格並に低下させる」、もしくは「食糧が高額になる現状 は維持し、基礎食料品の部分での超過価格相当分を消費者に補助金として支払 う(負の税金)制度にする」、という事を行わないと国内の食糧生産は本当に 動かなくなってしまいます。

それに、実際には一番悲惨な状態に置かれているのは農家では無く、「都市部 の耕さない低所得者」です。それもそろそろ認めましょう。

日本の都市部の人口は5割を超えました。もう「一票の重さを不平等に扱う」 事で、説明無しに特定の人間に有利な様に制度をゆがめる政策をとるのは無理 なのです。例えば東京は、独自に食糧政策を発動できるだけの富と人口とを 大分前から持っているのです。まだ、それを主張し始めていませんが。

欧州の穀物輸入関税は、最近生活必需品である食料の価格が急激に上昇した 為に「」になりました。 … 日本は一つの国ですか?



「新型インフルエンザ」は、非常に事態の展開が早いです。
まず記事の日付を確かめ、必ず表紙で最新情報を見てくださいね。









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