インフルエンザ

記事 : 再掲:タミフルはインフルエンザを治さない B面 
08年11月09日(日)


この記事は2007年03月25日のものです
某サイトに「タミフル薬害説」というトンデモが掲載された際に書かれました。

「10代の子ども達のタミフル服用」と「けが」について、「タミフルを飲んで いない子ども達の方がより多く怪我をしていた」という報告が正式に出た為、 記事の検索が増加しています。読み物ですが、ご参考までに

  タミフルに関するちょっとした質問
  HIVに汚染された血液製剤を健康な人間に投与すると全員「HIV」に感染します
  タミフルを健康な人間に投与すると「異常行動」は出ますか?

  問題があるとしたら、むしろ「突然死」と形容されているケースでしょうね。


最近、「タミフルなんてインフルエンザには不必要な薬なんですよね?」、 というトンデモな質問をされました。

ご冗談を。タミフルはウイルスに対抗する抗体を作り出す力が弱い「幼児」や 「高齢者」、合併症の危険性が大きくなる慢性疾患などの持病を持つ人達に とっては、まちがいなく「必用な薬」です。

タミフルはインフルエンザを治さない」、という 記事は、タミフルを死亡する危険性がほとんど無い、「普通の健康状態の人 が罹患した、通常のインフルエンザ」に使ってしまわずに、将来襲ってくる 危険性が高い、非常に死亡率が高くなる事が懸念されている「新型インフル エンザ」の為に、優先的に備蓄すべきだ、という事を主張したものです。

最近、「タミフルは意識障害が生じるから、使ってはいけない危険薬物だ」、 という主張が出ているようですが、それは「タミフルを飲めば治るんだから、 インフルエンザなんか気にしない(ワクチン接種をして予防しても、感染後 にタミフルを処方してもらっても、同じだけ金がかかるんだから、万一感染 したら病院に行けば良いんだ)」、というのと同じレベルの馬鹿げた主張です。

私は、「普通の健康状態の大人が罹患した普通のインフルエンザにはタミフル を処方するな」、と主張していますが、「タミフルは危険な薬物だから、禁止 薬物にすべきだ」、というインフルエンザ感染の治療に決定的な悪影響を与え る暴論には、反対です。

なぜそれが暴論なのか、この「B面」では、とある記事の著者が記事の題で 取りあげた「薬害エイズ」と今回の「タミフルで疑われている意識障害」が、 実際にはどれだけ異なった物なのか、という事を並べてみました。

ただし、私はくだんの記事の著者と同様に、医療情報を直接見る権限を持ち ませんし、そのような数字を読むのには統計学と疫学の両方の知識と、きちん と目的にかなった回答を要求された母集団が必用なので、この記事は「タミフ ルはインフルエンザを治さない」を反対側からみた、「単なるお話」です。

読みたい人だけどうぞ、と申し上げます。


薬は「病気の治療」の為に用いられます。
薬には「主作用」と「副作用」が存在します。
主作用というのは病気の治療に有用な薬理作用で、
副作用というのが、私達にとって望ましくない作用が出る状態を表現する言葉です。



「薬物の主作用」と「薬物の副作用」は、同じ薬物によって生じます。ですか ら、「薬害」について語るときに問題になるのは、その薬物が投与されなかっ た場合にどうなっていたのか、という視点です。

例えば「薬害エイズ」といわれるものでは、「血友病」という非常に大変な 遺伝疾患の治療に使われていた「血液製剤」が、HIVという現時点では治療法が 確立されていないウイルスに汚染されていた為に、薬剤を投与された血友病の 患者達がAIDS(HIVの感染によって生じる病気)を発症しました。


これが薬害とされるのは、次のような条件が存在するからです。
  • 血友病は遺伝疾患で、自己防衛出来ない
  • 血友病の治療の為には「血液製剤」が必須だった
  • 既に海外では「非加熱血液製剤」によるHIV感染が言われていた
  • HIV感染の危険性が無い、血液製剤の製造法が存在していた
つまり、生存の為に必須な薬物として血液製剤が必用で、なおかつ汚染された 血液製剤の危険性が科学的に指摘されていて、安全な製法による血液製剤が 投与可能だったという部分が有ったのに、危険な薬物が投与されて健康被害が 生じたというのが「薬害エイズ」です。


インフルエンザの場合
  • インフルエンザは感染症で、ワクチンが存在する
  • 普通の健康状態の大人の治療には「タミフル」は必須では無い
  • インフルエンザ罹患による異常行動は昔から存在している
  • 大量に使える抗インフルエンザ薬は「タミフル」以外には無い
という条件が存在します。
インフルエンザ関連の情報いろいろ
現在では、日本のインフルエンザ・ワクチンの接種は「任意」ですが、例えば、 現在子供の親になっている世代は、インフルエンザワクチンを集団接種されて いました。

子供ですから意識していなかったでしょうが、何度も強調している様に、ウイ ルスを撃退できるのは身体の作り出す抗体だけですので、「免疫系の発達程度 がまだ未熟な」低年齢の子供達が罹患したインフルエンザは、運が悪ければ 死亡してしまう事が有る、危険な病気なのです。

幼児と同様に、免疫系の働きが加齢の影響で弱くなった高齢者も、インフル エンザ感染によって身体が弱ると、合併症を起こす確率が高くなり、死亡率 が上がってしまいます。先進国の多くで、この2つの集団に対してインフル エンザ・ワクチンの接種の普及がはかられているのは、偶然などではありま せん。

ただし子供の場合、身体が発達途上で、「そもそもワクチンを与えても上手く 抗体が作れない」状況にあるので、2回もワクチン接種をしても病気を発症する 事があります。ですから、そういった段階でのワクチン接種を無駄だと考える 人間は存在しますし、逆に万一感染が生じても有る程度あらかじめ用意されて いる抗体の働きで軽症化させる効果は有る、と考える人間も存在しています。 (先日の英国での議論は、その視点に関して起きたものでした)

なお、日本のインフルエンザワクチン接種率は、先進国で最低です。その反面、 感染した後に処方される、普通の健康状態である人には必須の薬物では無い、 抗ウイルス薬の「タミフル」の処方数は世界最大になっています。高価な抗ウ イルス薬を、適用対象をを限定せずに大量処方処方するような事をしているの は、世界のなかで日本だけなのです。

タミフルは現在世界各地で需要が高まっている薬物です。ただし日本以外では、 普通の健康状態を持つ人にはタミフルを処方していません。それは「免疫の働き が弱い人間が重症化しない為」と「将来の新型インフルエンザ流行時の防御の 為の備蓄薬品」として、考えられているからです。

薬には、主作用と副作用が存在します。
タミフルの場合の主作用は「インフルエンザ・ウイルスの増殖抑止」で、 副作用としては既に胃腸障害などが起きる事は既に明示されています。

今回の異常行動は、「意識混濁・意識障害」に分類されるものですが、 インフルエンザ感染では昔から同様の症状が生じていたので、薬物の影響 が実際に存在しているのに、それが見逃されていたのではないか、という 事が懸念されています。実際に「タミフルの副作用」として意識障害が 生じているという可能性は完全には否定できない、という話だそうです。

インフルエンザ感染では、
  1. インフルエンザに感染する
  2. 異常行動が生じる
  3. 異常行動として生じた危険な行為を止められなかった
という3段階目で「死亡」という状態が生じます。
そして、「タミフル」を飲んだ子供達では、実際に異常行動による死亡が 多く生じている様に見えます。

ただし、それを解釈する為の視点は2つ有ります。

まず、「タミフル」のなんらかの成分が、異常行動を誘発する「副作用」を 持っている、というもの。そして、タミフルの服用によって、実際にはイン フルエンザ・ウイルスの数が減少していない為に身体の中では「免疫反応」 による戦争が起きているのに熱を下げて動き回れる状態にしてしまった為に、 結果としてインフルエンザ感染によってなんらかの異常を生じている段階の 脳が作り出している異常な行動が、より多く表に出ている、というものです。

繰り返しになりますが、「タミフル」を飲んでも、ウイルスの数は一つも減り ません。それが病原菌を殺す作用を持つ薬物(抗生物質がそうです)と、ウイ ルスに対処する薬物との違いです。ですからタミフル服用時には、既に増加し てしまったウイルスを撃退する為に、身体の免疫系が活発に闘っている段階、 普通なら高熱が有って布団の中で動けなくなっている段階で、熱だけを下げる 事になります。

異常行動が報告されている時期は、タミフルが存在していなかった時代にも、 子供達の異常行動(意識障害の結果)が生じていた事が報告されていた段階なの ですが、その段階でタミフルを服用させ、動き回れる状態にまで身体を楽にして やる事は、もしかしたら「高熱が有って動けない」、という見ていて可哀想な 状態よりも、より危険なのかもしれません。身体の中で起きている病気との闘い という観点からは、実際にはさほどの違いは無いのですから。

でも、そういう部分の判定は、疫学的に難しい所だそうです。
例えば子供が朝の通学時に交通事故に遭った場合、子供は朝食を食べています が、朝食を食べたことが事故の原因ではありません。特定の条件が同時に存在 している事と、それが因果関係を持つ事は別の話なのです。
当然ですが、インフルエンザは病気ですから、研究では無く「治療」が優先 されます。インフルエンザのような死亡の危険性が有る病気で、薬物投与群と 非投与群を作って効果を比較するなどという倫理的に許されない研究は不可能 ですから、「副作用」の危険性があるかもしれない薬物について、わずかな分 でも注意喚起するという行動は正しいと思われます。
タミフルが存在していなかった時代にも、子供達がインフルエンザを罹患した 際に異常行動が出た、という例は報告されていました。ただ、異常行動が出る 時期には同時に高い熱も出ていて、身体的にも非常につらい状態になっていた ので、まず自由に動き回れないという実態がありましたし(動けてもふらふらで す)、また親達も病状が酷いので、子供から目を離す事が出来なかったという 事が有ります。

「可哀想に、熱にうなされてうわごとを言っている」、というのが、かつての インフルエンザ感染時の親の心痛でした。してやれる事は水枕を与えたり、汗 を拭ってやったりする事だけだったのですから。異常行動も「熱で頭がおかし くなった」と心配され、「熱が下がったら元に戻った」と安心していた類の ものだったようです。

実際には、今もタミフルを与えなければ何日も高熱が続くという同様の状態 が生じます。またタミフルを与えても、小さな弱い子供達は運が悪ければイン フルエンザ感染で死ぬので、親達は病気にかかった小さな子供達から目を離し たりはできません。昔も今も、小さな子供達が生物として弱い、という部分は 何も変わってはいないのです。

子供の容態の変化に一喜一憂している状態では、なんらかの異常行動が生じて もすぐにみつかり、危険な事になる前に対処されますので、命に関わるような 事故はまず生じないだろう、という事は普通に想定できます。

多分異常行動が小さな子供達に少ない、という話ではなく、小さい子供達の 場合には、親達がしっかり見張っているので、異常行動によって死亡の危険性 が生じる前に取り押さえられる、という話なのだろうと思います。

タミフルが実際に神経系統での「副作用」を生じているのかどうかは、現時点 では解明されていません。インフルエンザという病気に関しては、ずいぶん前 から指摘されている「乳児のインフルエンザ脳症」の解明さえも進んでいない のですから、脳で何が起きているのかの解明が難航するのは当然でしょう。

今回10代の子供達へのタミフル処方を抑制するように、という指導が出せた のは、その年代では身体の免疫機能がより成長していて、インフルエンザに 自力で(自分の身体が作り出した抗体で)対抗できるようになっている可能性 が高いからです。そういう段階で、あえて「副作用が存在して危険かもしれな い」薬物を服用させる必要性は無いのです。

それと同時に、タミフルが無かった時代にも異常行動が生じていた事と、何が 原因となって生じていたものだったのか、という事が実は解明されていない、 という情報も出しておかなければいけません。タミフルを服用させていなけれ ば異常行動を起こさない、という間違った安心を親達に持たせてはいけないの です。

もちろんより免疫系がしっかりしている健康な大人には、本来タミフルは 不要です。病気に感染して年度末に仕事に支障を来す事を心配するなら、ワク チン接種を受けておきましょう。私達の身体は、花粉を撃退するのと同様の レベルで、ウイルスを撃退する為の闘いを繰り広げてくれますから、安心ですよ。

「意識混濁・意識障害」という副作用が存在する薬物は投与が禁止されるのか、 というと必ずしもそうはなりません。それは薬物を投与された人間の中で、 薬物によって命が救われている人数と、異常行動を起こしている人間の人数が 比較され、必要度が判定されるからです。

最初に書いたように、薬には「主作用」と「副作用」が存在します。主作用 という病気の治療に有用な薬理作用が、副作用という私達にとって望ましく ない作用を大きく上回るなら、その薬物は管理されつつ使用されるべきもの なのです。

実際に、非常に致死性が高い病気や他の薬物が存在しない病気に対処する ために、身体的な危険性が存在する薬物が使用されているという状況は、 現在も多数有るのです。それは、「薬」というものに対するリスクとメリット を天秤にかけた結果にすぎません。

ですから、「タミフル」の場合に神経系統に「一時的に障害が生じる」という 副作用が存在しているのならば(当然ですが、日本で行われている数千万人と いう大量の人間を使った臨床治療の結果でも、神経系統に永続的な障害が生じ るという事は見つかっていません)、それは服用が必用な身体的な悪条件を 持っている人に対して「服用後の様子に注意」しながら使う薬物、という扱い になるわけです。

また、本来「タミフル」を服用しなくても生命の危険がほとんど存在しない 10代の子供や大人では、タミフルの処方が禁止されてもなんら影響はありません。


私は、普通の健康状態の大人が罹患したインフルエンザ感染のケースには、 タミフル服用は不要だという立場をとっていますし、感染を防ぐためには 「ワクチン接種」が有効だ、と主張している人ですが、実際日本以外では そもそも普通のインフルエンザ感染への対処は、病気の流行前に行われる ワクチン接種で、感染して発症した普通の健康状態の患者達に「タミフル」 が処方される事はほとんど有りません。
一部の人間が安全な薬であるかの様に語っている抗インフルエンザ薬の 「リレンザ」ですが、その薬物は吸入式の薬物で、扱いがやっかいなので 処方例が少ない薬物です。

処方された数が少ないために、タミフルと同様に大量に処方されれば出てくる 可能性が有る、服用後の意識障害などが報告されていないだけなのかもしれな いのだ、という程度の事実は知っていて欲しいと思います。「薬」とは、反面 に「毒」を持つ存在なのです。病気にかかったから、仕方がないのでそれを 飲むのだ、という事は常識として認識していて欲しいものだと思います。
海外では「タミフル」や「リレンザ」などの、抗ウイルス薬を処方される人数が そもそも少ないですし、投与される人達はもともと注意深く病気の経過を見守る 必用がある「高リスク群」だけですので、万一意識障害という「副作用」が出て いても、比較的安全に状態が管理される事になります。


またタミフルの事例で言うなら、「異常行動」が生じる事そのものは、実は 「死亡」には直接結び付きません。異常行動が生じた際に、危険な行動を止め られなかった場合に、初めて「死亡」する事態が生じるからです。例えば、平屋 に住んでいて、死亡するような飛び降り方をすることは困難でしょう。

もういちど書きますが、「死亡」という現象は、
  1. インフルエンザに感染する
  2. 異常行動が生じる
  3. 異常行動として生じた危険な行為を止められなかった
という段階の最後で起きています。

つまり 「1’:インフルエンザに確実に有効なワクチンがまだ無いので 無駄だという誤った情報によって、ワクチン接種を受けなかった。もしくは、 ワクチン接種を受けたのだが、子供が抗体を作り出す事に失敗して、不幸に して病気を発症した」、という状況の後に、「2’:異常行動が起きているの を親が発見して、早期に対処できなかった」という事が重なった場合に、 「死亡」という本当に痛ましい事例が生じたのだという事なのです。

「タミフル」の投与によって「2」の異常行動が生じたのかどうか、というの が、今回の話で言われている「薬害」です。つまり今回主張されている「薬害」 は、「タミフルの服用によって意識障害が生じる事が有る、という事をもっと 積極的に知らせていれば、親達はもっと注意深く子供を監視しただろう」、と いう話なわけです。

もともとインフルエンザそのものが意識障害を生じる事がある激烈な症状 を持つ病気ですので、病気についてきちんと認識している親なら、子供に 異常が無いかどうかを監視しているはずです。ですからそんな事は改めて 強調するまでもない注意事項のように思えたのですが、今親になって子供を 育てている世代は、子供の死亡率が劇的に低下した後に育った世代ですので、 身近な友だちが病気で死んでしまうといったような経験も無いかもしれません。

また、自分が病気になった時の苦痛を、子供自身はそうそう覚えてはいないもの です。核家族でそういう情報の受け渡しがされなくなった今、子供の病気がとて も危険だという事に対する危機意識は低いのかもしれません。改めて注意喚起を するというのが、対処として安全なのかもしれない、と感じます。


日本での「タミフル」は「毎年流行する事が認識されている感染症」に、防御が 不十分だった為に罹患した、健康状態に問題が無い大人に大量に処方されて いる抗ウイルス薬です。それは、1日〜2日という期間、高熱期を短縮する為に 使われます。もちろんそれは、普通の健康状態の人間が罹患した普通のイン フルエンザには「必須」の薬物では無いのです。

日本で普通の健康状態の人間に「タミフル」が大量に投与されるのは、 「インフルエンザ」という病気に感染してから、それがウイルス疾患なので 治療の為の薬物が存在しない病気だ、という事を認識しない感染者・保護者 が、治療の為の薬物が存在しているという誤解に基づいて、病気の治療薬として 「タミフル」を求め、医師達が幾らか短くなるだけであっても高熱のある期間を 短縮すべきだ、と考えて、「健康保険が適用される安価な薬物」になっている タミフルを処方しているからなのでしょう。

あたりまえに判る部分ですが、「タミフルによる異常行動」が存在したいた としても、普通の健康状態の人間には「病気による死亡の阻止に必須ではない 薬物」が投与された結果として、「防御可能な意識混濁・意識障害という副作 用」が生じたのかもしれない、タミフルの懸念事例の話は、「その薬物が病気 の治療に必須で、生命維持に必須だった」血友病の薬物による薬害と同列にな らべられるようなものでは有りません。
実際には神経系統に異常が生じる可能性が存在している事は、既に医師達には 情報として提供されていますし、製薬会社からも厚生労働省にその事が通知さ れています。それを一般向けに広報するかしないかを決めるのは、厚生労働省 という役所の判断です。
「タミフルはインフルエンザを治さない」
これは、単に普通の健康状態の人にはそれが「必須」のものでは無い、という 話で、「タミフル」という薬物の有用性を否定するものではありません。

「身体的なリスクが生じる事が知られている副作用が存在していても、それが 病気の治療の為に必須なものなら、その薬物は使用される」という事実は、 副作用が存在するかもしれない、という事と同列に認識されていて欲しいと 思います。

「タミフル」は、現在のインフルエンザには必須の薬物では有りませんが、 世界各地で流行している現在のウイルスの数百倍の増殖率を持つ「H5N1」型 の鳥インフルエンザが、人間に感染する「新型インフルエンザ」に変異した 時には、「増殖を妨げる特質を持つタミフル」」が、感染者の命を救うため の必須の薬物になる、と考えられているのですから。

また、現在のインフルエンザの流行に際しても、「タミフル」の投与が行われ ない事によって失われる命(主に高齢者になるでしょう)は、タミフル投与に よって「異常行動」を起こす人の数よりも、はるかに多くなるでしょう。

薬物によって生じる「異常行動」は監視する事によって抑止できます。でも、 タミフルを投与されない場合に、ウイルス感染によって破壊される身体を守れ るものは、抗体の他には何一つ存在しないのです。抗体を作り出す働きが弱い 人間にまで、タミフルが投与できなくなるような事が日本で起きて欲しくは ないと思います。

薬には主作用と副作用が存在します。薬は病気に対抗するために、仕方が無いの で飲むもので、それにはメリットとデメリットが存在しています。つまりは、 物事を選択する際にはバランスが必用なのだ、という事なのです。


それから念のために付け加えますが、私は「薬害」というものが存在する 事を、自分の事として知っています。「タミフルの副作用」の存在を否定 する立場はとりません。

タミフルは、実際に「意識障害」という副作用を持つ薬物なのかもしれません。 薬物のほとんどで試験動物にされるマウスでは、異常行動は出ていません (タミフルを投与した生後間もないマウスで突然死が見られたので、乳児には 危険性が有る薬物という事になっています)。けれども投与集団がが数千万人 という人間である時には、母集団のうちのほんの少しでしか起きない異常でも、 その影響は見えてきます。それが現在、日本のインフルエンザ感染者達が、 自分の身体を提供して行っている事の別の側面です。

病気の治療に必須のものでは無い薬物を、率先して自分の身体でテストする 奇特な人間が多数生息している日本は、他の国からみると良い実験場なのかも しれません。テストしているのが、「薬害エイズ」という投与された 全員がHIV感染を生じた、非常に悪質な事例とは違って、数千万人の投与に対 して少数の副作用の懸念例が出ている段階だというのが、この話の幸いな所で す。
でも私は、親達がウイルス感染には治療薬が存在しない事を知っていたら、 子供達にはタミフルを飲ませず、異常行動を起こす事もなかったかもしれな いのに、と思ってしまいます。

死亡しているのは、ワクチン接種を受けていれば全員感染を逃れていると 考えられるより育った子供達です。(逆にそれが、親が異常行動を抑止できな かった原因になっているのかもしれません) もし病気について正確な情報が 提供されていれば、不幸にして病気に感染してしまっても、病気になって大変 だったね、ですんでいたのかもしれないのに …

「インフルエンザにかかったら、病院に連れて行っても子供は死ぬことが有る」、 という事を実例として知っている年寄り達が、私達の所では小さな子供を持つ 親達と同居しています。「お前が熱を出したときに …」、と自分自身では忘 れている病気の怖さを聞かされる親達も、毎年インフルエンザのワクチン接種 をいやいやながら受けている子供達も、実はとても幸せなのかもしれません。

病院に行けば病気は治る、薬を飲めば病気は治る、という事が全部の事例に あてはまるものでは無い事を、私という実例によって認識している、という のも、病気に対する防御という事では多分有効に働いているのでしょう。
他の義務接種ワクチンと同様に、子供の時に接種するとその後の感染から守ら れるタイプの「インフルエンザ・ワクチン」の開発が現在進められています。

それが登場すれば、既に感染を防ぐためのワクチンが存在しているのにも関わ らず、「ワクチン接種は無駄だ(感染したのは単に運が悪かっただけだ)」、 と考える馬鹿者は撲滅出来るでしょう。そしてそういう馬鹿者に育てられ 危険な感染症に無防備な状態でさらされていたり、感染後に動き回って周囲に ウイルスをまき散らしている無責任な人間によって病気を発症させられたり する可哀想な子供達もいなくなるわけです。

早期に永続型のインフルエンザ・ワクチンの開発が成功してくれる事を願って います。


追記 2008/11/9
ここに書かれていた文章はコメントアウトされています。「あれはうちの 社の人間が書いている記事では無い(連載の一部として掲載したけど)」、 だそうなので … 多数の人が読む場所に文章を載せる「掲載責任」は あると思うのですが、確かに文章の主旨はご本人様のものでしょうし。

当然ですが、ご当人も「タミフル薬害説」をその後も主張するような「へま」 はしていませんので、単に「情報を取捨選択して手渡した人間の能力が低かっ た」という事なのかもしれません。「薬は毒だ」という事を前提にするのは大事 ではありますが、適切な事例によってそれを指摘できなければ逆効果なのです。

「都合良く事実をねじ曲げる」のは、長期的にマイナスでしかありません。

タミフル」、「リレンザ」、「薬物の副作用」、「インフルエンザ

「新型インフルエンザ」は、非常に事態の展開が早いです。
まず記事の日付を確かめ、必ず表紙で最新情報を見てくださいね。









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