| 健康と医学全般 | |
| 記事 : うつ病の遺伝子は薬が効かないわけを明らかにします |
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06年10月06日(金)
Depression genes show when the drugs won't work
Nature Web News 10/5 「熱がある」というのは「病気」ではなく「症状」です。その症状を引き起 こす原因は様々で、原因によって治療法は異なります。では、「抑鬱状態」と いうのは、「病気」なのでしょうか? 「症状」なのでしょうか? 今回、脳細胞とニューロンの成長を導く「brain-derived neurotrophic factor:BDNF(脳からもたらされる神経栄養因子)」を作り出す遺伝子を 操作して、変異を作り出したマウスを対象にした実験で、神経質な状態を 示すようになったそれらのマウスでは、その様な状態の人々に大量に処方 されている「fluoxetine(フルオキセチン):商品名Prozac」は有効な 働きを示さない、という事が明らかにされたそうです。 人間でも、多くのケースでまず投与される薬物である「fluoxetine」は、 60%の人には効果が無いのだそうです。逆に言えば、運の良い40%には効果 が有るわけですし、現在それ以上の割合で不特定多数に効果が得られる薬物 がみつかっていないので、その薬物が広く投与されているのだそうですが、 もし人間のケースがマウスと同様の遺伝子変異が原因なら、薬が効果を発揮 しないのも当然なわけで … 記事を読んでいてため息が出ました。 つまりは、今のうつ病の治療は、「病気がなぜ生じているのかが判っていな い」ので、「うつ状態に有効性が高い(4割に有効)」事が知られている薬物 をまず投与してみています、という状態なのですね。それで効果がなければ、 うつ状態に有効だった事が有る他の薬物が試される、というだけで … その薬物が効力を発揮する障害が存在していれば、それが解消されて症状が 改善されるという段階だというのは、医者にも患者にも大変な話のように 思えます。 記事の最後に出てきている研究者の言葉を読んでいたら、「刀傷の治療」の 為に、「焼き鏝を当てて、焼酎を吹きかけて、お札を貼る」、どれが有効なの かわからないが負傷者の救命率は上がったので、それを標準的な治療法にすべ きなのだ、と江戸時代の医師が語っている星新一氏の小説を思い出しました。 原因が見えていない段階の治療は、とても大変です。 幸いなことに、脳の活動状態を把握するための手段が複数出てきています ので、今は薬物が実際に何に変化を与えているのか、という事が目視で確認 出来るようになってきています。多分 … 「症状によって病気を分類 する」段階から、「原因によって病気を分類する」段階に進歩するのでしょう。 身体の病気の診断が、そのような方向で進歩してきたように。 「A遺伝子の変異が原因になっているので、○薬物は効力を発揮しない」、 という判定が事前に行われ、無意味な薬物投与が行われなくなる未来はまだ 先だそうです。 神経質な状態にあるマウス達は、同じ条件を抱える人間達の為のより良い 治療法を指摘するかもしれません うつ状態に有ったり慢性的に不安を抱えている人々が、そのような状態を 治療する為に薬を処方された場合、その錠剤が有効に働くかどうかが判明 するまでに数週間が必用な事があり得ます。今精神科の医師達は、特定の 薬に反応しない患者達を識別する事によって、その試行錯誤プロセスを 回避する事を可能にする遺伝子検査の基礎を築きあげました。 研究者達は、うつ状態やそれに関連する混乱状態に人間を陥らせる脳の 変化に注目しました。彼等は、同じ変化を生じるようにマウスを遺伝子 操作し、それらのマウス達がげっ歯類の動物達が不安な状態に有る時に 現れる典型的な徴候を示している事を見いだしました。そして、その様な 状態のマウス達は、「Prozac(プロザック)」と呼ばれている、その様 な状態の人々に大量に処方されている「fluoxetine(フルオキセチン)」 を与えられても、わずかしか改善を示さなかったのです。 同じことが人間でも起こっているならば、それはなぜうつ状態に対処す る為の薬を与えられた患者達の60%近くが、彼らが処方された最初の薬物 に反応しないのか、という事を説明するのを助けるかもしれまない、と 今回の研究を率いたWeill Medical College of Cornell Universityの Francis・Leeは語っています。 憂鬱からの脱出 「selective serotonin-reuptake inhibitor:SSRI(選択的セロトニン再 吸収阻害剤)」と呼ばれている一連の薬剤は、うつ病の治療の為に広く 使用されています。それらのすべてが、脳の中のニューロンが利用可能 な、感情の状態に関連づけられる化学薬品である「serotonin」の量を 増加させる事によって働いています。 しかし、「serotonin」によって全てが説明できるわけではないかもしれ ない、という証拠が出現してきています。例えば2003年には、学習と記憶 に関連する脳領域である「hippocampus(海馬)」の中のニューロンの成長 を支援する事によっても「fluoxetine」が働くかもしれない、という事が 報告されています。(参考記事:New nerves may fight depression) 今回の新しい研究は、ニューロンの成長がうつ状態やそれに関連する徴候 の緩和にとって重要だ、という考えに基づいています。研究で用いられた マウス達は、変異型の「brain-derived neurotrophic factor:BDNF(脳 からもたらされる神経栄養因子)」を作り出す遺伝子を持っていました。 その物質は脳細胞とニューロンの成長を導くのです。 実験に使われたマウス達は、より神経質でした。それらは開けた空間を 調査する事により少ない時間を費やしました。そしてそれらのマウス達 は、「fluoxetine」によっては状態の改善が見られなかったのです。 Leeと彼の同僚達は、「Science」誌でそれを報告しています。 同じ遺伝子の特定の変異を持っている人間は、学習と記憶に関して困難さ を持ち、またよりうつ状態に陥りやすい状態にあります。驚くべき事です が、コーカサス地方の人々の30%がこの遺伝子変異を持っているかもしれ ないのに、誰もまだこの特定のグループで「Prozac」が有効に働くのかど うか、という事を調査していません。 薬物の選択 うつ状態を発症している人々で、この脳の変異をスクリーニング(より分け る)事によって、医師達は治療薬を処方する際の成功率を改善出来るかもし れません。薬が上手く働くケースであっても効力が発揮されるまでに数週間 が必用なので、それは望ましいものでしょう。「抗うつ薬物が効果を発揮す るまでには投与から有る程度の時間が必用なので、どのクラスに属する薬物 によって治療を始めるべきなのか、という事を知る事は有益でしょう」、と Leeは語っています。 けれども、私達がそのようなテストを行うようになるのはまだずっと先の事 になるだろう、とUniversity of Bathの薬理学者であるSarah・Baileyは主張 しています。「その種のpharmacogenomic(薬理ゲノミクス)はが現実のもの とはるのはまだ先の話です」、と彼女は語っています。医師達は現時点では SSRIを処方し続けるべきだ、と彼女は付け加えています。「SSRIは病気の 全般的な治療には非常に有効なものです」 Baileyは、研究者達は神経質な特質を持つ変異体マウス達で行ったものと 同様のテストを、うつ状態の徴候を持つ変異体マウス達で行うべきだ、と 語っています。「この論文ではうつ状態については注目されていません。 それはいささかびっくりさせられるような事です」、と彼女は語っていま す。 その2つの状態はしばしば密接に関連していますが、「私達は、それらが 同じ分子メカニズムによるものなのか、異なる分子メカニズムによるもの なのか、という事を実際に知っているわけではないのです」、と彼女は 説明しています。「単に神経質になっているだけの人々もいます。また、 うつ状態にある人々もいます。そして、その両方に苦しめられている人々 もいるのです」 「うつ病とプロザック」、「fluoxetine:フルオキセチン」、 「セロトニン」 「新型インフルエンザ」は、非常に事態の展開が早いです。 まず記事の日付を確かめ、必ず表紙で最新情報を見てくださいね。 |
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