来たぞ、初日だ。ようやく今年が始まった感じ。演劇界で最も敬
愛する劇作家の作品の初日。見逃しませんよ。待ってました。速
報ということで、さっそく感想を書きますが、前知識を入れたく
ないという人は、注意して下さい。もちろん、極力ネタバレしな
いようにしますが、どこまでネタバレかというのは人によって違
いますしね。
山の上の眺めの良い家。中年の夫婦がやって来る。妻は精神を病
んでいるらしく、その療養のためだ。そこに、若い女がやって来
る。中年の女は電話をかけたくて、若い女に携帯電話を借りる代
償に一つの願いを聞くことになる。その願いとは、とある場所を
掘り返すこと。若い女の言う通りに掘り返すと、そこから現れた
のは第二次世界大戦で亡くなった兵隊、しかもゾンビとなってい
る兵隊だった。その頃、若い女を追う若い男がいた。女の夫であ
る。夫は妻を連れ帰ろうとするが、妻は反発する。まだ、彼女の
望みは完全にかなえられたわけではなかった。ゾンビの兵隊達は
中年の夫婦を襲うが、太陽の光に弱いらしく、夜明け間近になる
とうろたえだした。それを中年の女が助けたことによって、彼ら
と意気投合する。彼らは、戦争が終わってしまったことを知ると、
アメリカに一矢報いたいと考えるようになる。しばらくすると、
中年女の弟が姉を連れ戻しにやって来る。彼女が精神を病んだ原
因は夫であったからだ。中年女の入れ知恵により、中年男は兵隊
達のために爆撃機を用意しなければならなくなる。果たして、彼
は本当に爆撃機を用意出来るのか、ゾンビ達はどうなるのか、若
い女の望みはかなうのであろうか…。
新作です。新作です。今回もボリュームたっぷり2時間35分ほ
どでした。若干押したので、終演は21時40分でした。
さて、今回の作品は長塚圭史がホラーに挑戦ということですが、
まぁホラーはホラーですね。どういうホラーかというとスプラッ
ター系のホラーですね。グロさというのは、長塚作品の代名詞み
たいな部分もありますが、はたらくおとこよりは弱めに設定され
てますかね。ゾンビが出てきたりしますが、ユーモラスな場面が
多いので恐くないと思います。
恐いというより、びっくりするだろうというのは、ドンパチです
かね。恐くないけど、びっくり。他に、これは恐い人いるかもな
という場面がありますが、そこは内緒。観てのお楽しみ。
そして、ホラーテイストに仕上げてあるけれども、恋愛悲劇とい
う括りが一番合うんじゃないのかなと思います。
さて、細かい部分へと。
セットですが、今回は家の広間が中心のワンシチュエーションで
展開されます。その家ですが、最初に見た瞬間は長塚が客演した
オリガト・プラスティコの西へゆく女の家に、ちょっと似てるか
なぁと。でも、あの装置と美術さんは違うみたい。
役者さんですが、まずは吉田鋼太郎さん。蜷川芝居に、お馴染み
の大物です。いやぁ、コミカルに、そしてシリアスにさすがの貫
禄を見せてくれました。ちょっと歪んだ愛情の持ち主で、見事に
主役を演じています。
その吉田さんの相手役の伊勢志摩さん。ちょっと精神を病んでし
まっている役。ラストが強烈です。これは、真昼のビッチにも通
じる所があるんじゃないかな。ラストに関しては、鋼太郎さんも
同様に、ビッチテイスト。
そして、小島聖。人妻役。いやぁ、なんかエロい。決して、卑猥
な役柄ではなく、むしろ清純な感じが、なんかエロい。ひたすら
美しいです。純愛を貫く懸命な姿が。そして、血まみれになった
りします。それすらも美しい。
その夫役の長塚圭史。ベージュのスーツ姿がカッコイイ。今回の
二枚目ポジションは彼。だけど、一筋縄ではいかない役なんです
けどね。
ゾンビトリオ行きます。まずは、中山祐一朗さん。見た目、あん
まりゾンビっぽくないです。もちろん、隠れた部分が腐敗してた
りするんですけどね。中山さんの役が良い人か悪い人かで、作品
の印象がだいぶ変わって来るんですが、今回は良い人。
次に山内圭哉さん。ちょっと、Piperのスプーキーハウスの
キャラが一瞬、顔を出したりしますが、今回かなり良い役です。
いやぁ、泣き所を担ってる感じですね。見た目、かなりゾンビで
気持ち悪いけど。
そして、伊達暁さん。今回の役だと、ちょっと扱いが小さい役だ
けど、客演武者修行の成果は出てると思います。
最後が、弟役の池田鉄洋さん。キーマンですね。けっこう難しい
役だと思いますね。一部、はたらくおとこを想起させる場面なん
かもあったりして。
だらだらと書き連ねてしまったけれども、今回は戦争を扱ってい
ます。その扱い方は、この作品では右寄りな扱い。それが正しい
とか間違っているとかではなくて、これが親も戦争を知らない世
代の描く戦争なんだと強く提示された気がします。
トータル的に見ると、はたらくおとこで変化球を投げたけれど、
今回は直球勝負の今までの長塚作品に、ちょっと回帰したかなと
いう印象です。ピローマンの重さへの反動でも見せ付けるかのよ
うに笑いに関してはふんだんに散りばめられていますが、刺激と
いう面に関しては、ちょっと物足りなさも。それは、はたらくお
とこが、あまりに強烈だったからということもありますが。まぁ
概ね満足ですけどね。
本日の公演は「阿佐ヶ谷スパイダース・悪魔の唄」でした。
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