踊る芝居好きのダメ人間日記

踊る大捜査線好きの観劇好き好き人間の日記です。
 
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「海賊」(グリング)@ザ・スズナリ

2005.12.14(Wed)19時30分
演技者に取り上げられたり、相次いで新劇に書き下ろしたり、青木豪
さんの活躍は着実に演劇界に知れ渡っている。小劇場ファンの間でも
着実にファンが増えてきていると思うのだが、グリングとして少しの
冬眠期間を持つことになる、この作品の出来は…。

都心から少し外れた郊外の街。その街の駅前に美容室がある。そこは
夫婦で切り盛りする店で、駅の待合所的に喫茶店のようなことも兼務
している。夏祭りが目前に迫っているその日、夫の兄が帰って来た。
兄は、司法試験合格の夢破れて小学生相手の塾講師をやっていた。突
然やって来た兄は、少し前に亡くなった父の遺産相続の相談に訪れた
のだ。数日後に夏祭りで寸劇を行うことになっていて、地元の人々は
準備に大忙し。小さなトラブルが次々に発生するものの、なんとか準
備を進めている。そんな時に、近くの河原で小学生が刺殺されたとい
うニュースが飛び込むのだった…。

今まで何本か観たグリングの作品も、良く書けているなと思っていま
したが、今回は筆が乗りまくっているなという印象です。配役の妙や
演出の上手さもあるのでしょう。描き方次第では、重苦しくなってし
まいそうな題材を、実に見事にまとめ上げています。

題材としては、あまりにもタイムリーで驚かされます。こんな世の中
だから、ありえそうなことを描いているわけですが、実際に起こって
しまうというのは悲しいものがあります。そんな題材なのに、思わず
笑って見てしまっている自分が、なんとも不謹慎な思いもしつつも人
間は、こういうことを好んでしまうのかなとも思ってしまったり。

まだ観ていない人にとっては、なんとも歯がゆい表現になっています
が、観て損のない作品であることは確かです。あまりにも評判が良過
ぎると勘繰ってしまうということもあるかとは思いますが、一部の人
は嫌悪を抱くことがありえなくはないのですが、フィクションの世界
と割り切って観れば、この上ない充実した時間が過ごせるのではない
かと思います。

それにしてもキャスティングが素晴らしい。笹野鈴々音が素晴らしい。
これほどまでに彼女を魅力的に引き出せる作品、演出はないだろうと
言っては失礼ですが、それほどまでにキュートです。作品の明るさの
部分を笹野、杉山、谷川といった面々がしっかりと担っている反面の
暗さの部分を一身に背負っている中野英樹の好演も見逃せません。告
白の場面や、その後に続く衝撃的な場面、そしてラストシーン。思い
出すと、なんか泣きそうです。

これほどまでに評判が良いのに、まだ客席には余裕があるらしいとい
うのは悲しい限り。観て損は、ありません。次回は来年末の紀伊國屋
ホールとのこと、どれだけ進化しているのか楽しみでなりません。

本日の公演は「グリング・海賊」でした。

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